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願い事

                                       取り戻すと誓った、たとえ、すべてを投げうっても・・・・・・
相互リンク
タイトル 作者 感想
>決☆闘☆王〜JUST DUEL〜 ひな様 ひな様の書いてらっしゃる小説です。ユニークなキャラやオリカが多く、また、鬼などの人外の存在なども多く登場するので楽しめる物語です。まだ始まったばかりなのでぜひ呼んでみてください。
>Nothing Venture.Nothing gain ファラオ様 ファラオ様の2作目です。王道ラブコメ要素とシリアスな場面の使いこなしがすばらしく、読んでいてどんどん引き込まれます。まだ始まったばかりなので読むなら今です。
>Cursed Doom 青眼様 青眼様の2作目の短編小説です。まだ始まったばかりなのですが今回はモンスターが実体化するようなので今後の展開にかなり期待できます。
>遊戯戦闘記〜時空物語〜 のばら様 文章の組み立てがすばらしく、カードの効果の表現方法もうまく、とても読みやすいです。また、決闘の展開や、その間に入る物語などもこっており、決闘とは別に、魔法などの設定もあるので決闘以外の部分も楽しめます。必見です。
>Again and Again GENMA様 GENMA様の2作目です。これもマガジンで人気連載中のエアギアをベースにした物語で、かつて無敗のリーダーだった主人公が、再び頂点を目指す様を描いた物語で個人的にかなりお気に入りです。
>Dream World カズト様 事故にあったことが原因で不思議な世界へと流れ着いてしまった主人公の七草 リュウカは、同じくこの世界に流れ着いていた兄を探すたびに出る。このサイトでかなりの人気を誇る小説です。現在100話を超えている大作です。ぜひ一度読んでみてください。
>精霊戦争 新装版 prism様 ここのサイトの小説の中で個人的に一番好きな小説です。精霊という特殊なカードが多数登場し、小説内での人間ドラマや王道のラブコメ要素も入っているのでお勧めの一品です。ここのサイトに来たからには一度は読むべきだと強く勧めます。
>魔法伝説〜Magical Legend〜 完全版 GENMA様 マガジンで人気連載中のネギまをベースとした小説で、ストーリー、決闘共にかなり充実しています。また、女キャラが他に類を見ないくらい多く、結構新鮮な感じがします。読んでみて損は絶対にありません。
>真世界を握るカード 青眼様 新たに改装された世界を握るカードです。以前と違い、始めから登場するキャラが多く、展開も違ったものになっています。そして何より最大の違いは主人公がふたりいることでしょう。まだ始まったばかりなので旧版を読んでなかった人も呼んでみることをお勧めします。
天津五柱神 yamato様 ゲームの世界に閉じ込められてしまった20人の生徒たち、彼らが生きて帰ることを目標に冒険していく様が面白おかしく描かれています。また、共鳴やライフ変動などに独自のルールが練りこまれており、かなり考えられていることが伺われます。見て損はありません。
遊戯王小説大賞2004

ACT60:転機 2004/06/13
ACT59:出会い 2004/06/11
ACT58:闇からの囁き 2004/06/08
ACT57:動き出した影 2004/06/07
ACT56:真実 2004/06/07
ACT55:激突、神VS神 2004/06/04
ACT54:暴走神 2004/06/04
ACT53:一点突破! 2004/06/02
ACT52:絶対領域 2004/06/01
ACT51:エルフの聖女 2004/05/30


ACT60:転機
木霊する三つの銃声、銃口から嬉々として吐き出された弾丸は、俺の前にいる女を毛ほども傷つけることなく移動し、3人の男どもに命中した。
3人とも肩や足を押さえてうずくまっていた。
クソッ、心臓を狙ったのに、血を出し過ぎのせいで視界がさだまらねぇ、満足に目標に当てることもできねぇとはな。
俺は女を追い越し男たちの前に立った。
「おいお前ら」
「ひ!?」
俺の声に男たちは怯えたように反応した。
「さっさとどこかに消えやがれ、次は殺す」
「ひぃぃぃぃぃ!」
怪我の痛みもなんのその、男たちは一目散に逃げていった。
「大丈夫ですか?」
女が話しかけてくる。
俺は女に銃口を向けて、言った。
「お前もだ、さっさと消え・・・・・・ろ・・・・・・」
だが体のほうが限界を迎えたらしい、血の出しすぎで意識が遠ざかっていく。
闇に落ちる寸前、俺が感じたのは冷たい地面の感触だった。



「いいかヒール、これから俺の言うことをよく覚えておけ」
俺を見下ろしながらカイはいった。俺は黙ってうなずいた。
「いいかヒール、命の価値は、人それぞれ違う、大切なのは、何が自分にとって大切な命なのか、見極め、そしてその大切な命を守り抜くことだ。そして、大切なものを守るために、銃を撃つことを決してためらうな」
「うーん、よくわかんねぇ」
俺が渋い声を上げるとカイは静かに微笑んだ。
「今はまだわからなくてもいい、だがいつかきっと、解るときが来るはずだ。そのときまで今俺が言ったことを忘れるなよ」
「なんかよくわかんねぇけど、わかった」
そういうとカイはよりいっそう微笑んで俺の頭をなでた。



意識が覚醒する、懐かしい、昔の夢を見ていたような気がする・・・・・・
ゆっくりと起き上がり、頭を2、3回振り意識をはっきりさせる。
そして、今俺が置かれている状況に違和感を感じる。
見れば俺はベットで寝ていた。よく手入れが行き届いている。
周りを見渡すと質素だが非常に生活観あふれる家具が目に付いた。
「どこだ?ここは・・・・」
思わず声に出る。それに答えてくれるものはいない。
意識を失う前、確か俺は地面にはいつ配っていたような・・・・
「あら?目が覚めたようね」
声がしたほうを見るとそこに立っていたのはブロンドの髪をなびかせた美女だった。
だが俺はこの美女との面識はなかった。
「おーい、ミリアー。彼起きたよー」
誰だと聞こうとした俺の質問は見事にタイミングをずらしてしまった。
「あ、はいウィンリィさん、今行きまーす」
なにやら物音がしてはいってきたのは俺が意識を失い寸前にそばにいたあの女だった。
「な!?お前は!?」
「あ本当だ、おはようございます」
入ってくるなり女はぺこりとお辞儀した。
俺の言葉は再び無効化された。
「傷の具合はどうですか?」
「何?」
「一応治療しておきましたけど、まだ痛みますか?」
そういえば・・・・・・
いわれてはじめて気がついた。今の俺はまったく痛みを感じていなかった。
「いや、痛みはもう、ない」
「そうですか。それはよかったです」
そう言って女は満面の笑みを作った。
「そうだミリア、私ちょっと出かけてくるから、あとよろしくね」
「はい、解りました」
そう言って初めにあった美女は部屋を出て行った。
「おい」
「はい?なんですか?」
俺の声に女、―ミリアと呼ばれていたからそういう名前らしい―が振り返った。
「なぜ俺を助けた?」
俺の質問にミリアはえーとと考え込む。
「誰かを助けることに、いちいち理由が必要なのですか?」
「何?」
「特にこれといった理由はありませんよ、なんとなく、ほっとけなかったからです」
俺は荒々しくした打ちする。下らないことに下らない答えが返ってきやがった。
俺は黙ってベットから降りた。どういう原理か知らないが傷がいえたのならこんなところには長居は無用だ。
さっさと立ち去るに限る。
「あ、だめですよ、まだ安静にしていないと」
ミリアが駆け寄ってくる。
「うるせぇ、俺に触るんじゃねぇよ!」
腕を大きく振りミリアをはぎ払う、否、なぎ払おうとした。
実際に地面に倒れたのはミリアではなく俺だった。
頭がくらくらする、意識がはっきりしない。なぜ?
「だから言ったんですよ、傷口がふさがったとはいえ流れ出た血は戻っていないんですから。もう少し安静にしてください」
俺はしぶしぶベットに戻った。
沈黙の時間が続いた・・・・・
「そうだ!」
唐突にミリアが手を叩く、
「自己紹介しましょうよ!」
「下らん」
彼女の提案を一蹴する。
「どうしてそんなにとげとげしているんですか?いいじゃないですか、自己紹介くらい」
相手にするだけ無駄だと無視を決め込むがそれでもミリアは付きまとってきた。
まるで猫だ・・・・・・・
俺は大げさにため息をついた。
「人に者を尋ねるときは、まず自分から名乗るのが礼儀だろ?」
「ああ、そうですよね!私の名前はミリア=ヴィーザスって言います。あなたは?」
「・・・・・・・ヒール=ナイツだ」
なんか、この女のペースに乗せられっぱなしの様な気がする。
「どうしてあんなところで血まみれだったんですか?」
そしていきなり直球ド真ん中な質問を浴びせてきた。
「企業秘密だ」
またまとわりつかれても困るのでとりあえずこう答えることにした。
そうなんですかと納得するミリア。そこで俺は疑問に思ったことをぶつけてみた。
「なぁ、どうやって俺の傷治したんだ・あれは結構致命傷だっただろ?」
「これを使ったんですよ」
そう言ってミリアは1枚の紙切れを取り出した。
よく見るとそれは絵柄の書かれたカードだった。
カードには治療の神 ディアン・ケトと記されていた。
「カード、まさかお前、召喚士なのか?」
「はい、そうですよ」
あっさりと答えたれてしまった。
「じゃあここはどこだ?」
「ここはシルフィア神殿といって、あなたがいたアクアヴェイルのすぐ近くにある神殿ですよ。私はちょうど買い物にいったときにあなたを見つけたんです」
神殿か・・・・・ということはこいつらは神官ってわけか・・・・
とそこへさっきでかけていった美女が帰ったきた。
「あ、紹介しますねヒールさん、この人はウィンリィさんといって、この神殿の大神官なんですよ」
「よろしくね、ヒール君」
「よろしく?どういうことだ?俺はお前たちとよろしくするようなつもりはないぞ」
「そうはいかないのよ、あなたの経歴、調べさせてもらったわ。まったくたいしたものね、わずか16歳で一通りの悪さしでかしているんだもの」
「いつの間に調べやがった」
「神殿の情報量甘く見ないでもらいたいわね。まぁいいけど、それでね、あなたに話があるのよ」
「俺にはない」
そう言って俺は二人から背を向ける。
「そうはいかないわ、ヒール君、あなた、神官になりなさい」
「なに?」
思わず振り向いてしまった。
「正気かお前?俺はさっき言ったとおりの犯罪者だぞ?そんな俺が、なんで神官になんザなれるんだよ」
「普通はなれないわ、でもあなたはあのソドム出身、あそこで16年間もいき続けていたなんて、すごいことよ。それにね、私くらいの召喚士になると、相手の魔力がどの程度かよくわかるようになるのよ。それであなたの魔力の内包量はすさまじいことが解ったの。だからあなたが召喚術を覚えれば、神殿にとっても利益になるのよ。もちろん、その間のあなたの生活は保障するわ。ソドムに喧嘩売って、まともな生活送れてないんでしょ?どう?悪い話じゃないと思うけど」
確かにな・・・・・そもそも・・・・・・
「俺に選択権ってないだろ?」
断ればそのまま放り出せれて、遅かれ早かれ俺はソドムの奴らに殺されるわけだからな。
「いいだろう、その代わり、カードについていろいろと教えてもらうぜ」
こうして俺は、ソドム出身のアウトローから神官へと新たな道を歩むことになった。
まったく、因果なものだ・・・・・


今回あとがきはお休みです
Date: 2004/06/13


ACT59:出会い
俺の生まれた町はソドムと呼ばれる町でな、そこの治安は最悪だった。
まあ言うなれば最低のさらに下って感じだ。
別名、一日一人死ぬ町。
そこの住人たちは、皆複数人のチームを作って暮らしていた。
いや、暮らすって表現は適切じゃないな。
皆生きていたんだ。
両親の顔は知らない。
物心ついたころ、俺の目の前にあったのは、優しい母の顔でも、逞しい父の顔でもなかった。
脳漿をぶちまけて横たわっている、死人の目だった。
本当ならそんな子供がこんな地獄で生きていられるはずがなく、俺はすぐにでも殺させちまうところだった。
だが、そんな俺の前に現れたのは一人の男だった。
名前はカイ、ソドムに点在するチームのひとつ、クレイジーフレアのリーダーだった。
そいつがなんで俺を拾ったのかは解らなかった。結局教えてもらえなかったしな。
とにかく、俺はクレイジーフレアに拾われてそこで生きる術を学んだ。
それから幾年かの歳月が過ぎて、俺は14になっていた。
クレイジーフレアは名前の割にはまともなチームで、俺はそこの仲間たちと共に、それなりに楽しくやっていた。
そんなある日のことだった。
俺はいつものようにチームの食料を買出しに行き、アジトに帰ってきたときだった。
アジトは血の海で、そこには物言わぬ屍がぷかぷかと浮いていた。
「な!?」
俺は手に持っていた買い物袋を落として、その血の海に入っていった。
後ろのほうで落とした衝撃で買った卵がつぶれた音がしたがそんなことは関係なかった。
「おい!一体どうしたんだよ!何があったんだよ!?」
だがそこに俺の質問に答えてくれる奴はいなかった。
他のチームに襲われたのか、それとも他に何か理由があるのかは結局わからなかった。
そして、俺は一人になった。
アジトにはなにも残ってなかった。金も、武器も、生きている人間も・・・・・・
俺に残されたのはここにきてから今まで、みっちり訓練させられた一丁の銃と、リーダーが俺にくれた教えだけだった。

――――いいかヒール、命の価値は、人それぞれ違う、大切なのは、何が自分にとって大切な命なのか、見極め、そしてその大切な命を守り抜くことだ。

まだ俺にはこの言葉の意味が理解できない。
それは、俺にまだ大切なものがないからだろうか?
解らない・・・・・・でも、誰ももう教えてはくれない。
それからの俺の生活はまさに地獄だった。
強盗、殺人、裏切り、生きていくためなら何でもやった。
そのころの俺はいつも殺気立っていた。まるですべてを切り裂く抜き身の刃のように。
それから2年がたって、16になった俺の両手はもう真っ赤だった。
そのころの俺はただ強さだけを求めていて、生き残るためにもっと強い力を求めていて、誰彼構わず喧嘩を売った。
その結果、俺はソドム全体を敵に回した。
とてもじゃないが俺一人でかなう相手じゃない、俺はただ、生き残るために必死で、夢中になって逃げ回って、ついにはソドムを出た。
追っ手を全部やり過ごしてアクアヴェイルまで逃げ込んだときには、俺の体は血まみれだった。



「・・・・・はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・・クソッ」
思わず悪態が口から漏れる。
だがそんな気分にもなるぜ、くそったれが、血がとまらねぇ。
頭がくらくらしやがる、視界まで揺れてきやがった。
周りの世界の音が遠ざかる。これが、死か・・・・・・
「はっ」
そう思ったらなんか笑えた。恐怖なんざ微塵も感じちゃいなかった。
死があまりに身近になりすぎて、もう自分の死にすら何も感じないのかもしれない。
あ〜なんか眠くなってきた、このまま寝たらたぶん目覚めねぇだろうなぁ〜
「死んだら俺、やっぱ地獄にいくんだろうなぁ〜」
上等、地獄なら、もうとっくに体験している、あっちでも暴れてやるか。
そう思って目をつぶろうとしたとき、その声は聞こえてきた。
「大丈夫ですか?」
その声は、死のふちにいる俺を呼び戻すには十分すぎるほどに透き通った、こういうのもなんだが綺麗な声だった。
「あ?」
閉じかけた目を開ける。
そこに立っていたのは、白いローブに身を包み、方まで届いた長い黄金色の髪をなびかせた俺と同じくらいの年の女だった。
その翡翠の瞳が俺を見つめていた。
「見てわかんねぇのか?こんな怪我した人間が大丈夫なわけないだろう」
そのころの俺は、やっぱり触れるものすべてを切り裂く刃のようなどうしょうもない馬鹿野郎だった。
「それもそう、ですね」
そう言って女は小さく微笑んだ。
なんで笑ってんだこの女?てか普通こんな血まみれの男がいたらパニクるだろ。
「それじゃぁ、ちょっとじっとしてて下さい」
「なに?」
女は何を考えてるのか、いきなり俺に近寄ってきて手を伸ばしてきた。
反射的に俺はその手を振り払う、女は大きな目をさらに大きく開いて少し後ろに下がった。
「俺に振れんじゃねぇよ、どっか行け、殺すぞ」
俺はその女を睨み付けた。
だが女は俺の視線にひるまずにまた近寄ってきた。
「おい!だから触るんじゃねぇと」
「嫌です」
その声は、やけにはっきりとしていて、俺の意識へと届いてきた。
「何?」
「嫌だといったんです。私はあなたを助けると決めました。だから邪魔しないでください」
「な!?」
あまりに自己中かつ一種の暴虐武人さすら感じさせる理由で女はまた俺に向かって手を伸ばしてきた。
「見つけたぞこの野郎!」
そこにやってきたのはいかにもな格好をした荒くれ者3人、ソドムの奴らか!?まだいやがったのか!?
「なんですか!あなたたちは!?」
女は振り向き3人の男たちに向かって毅然とした態度で言い放った。
「うるせぇ!邪魔をするんじゃねぇよ!」
一人の男が声を荒げる、だがそこにもう一人の男が会話に入ってきた。
「まあまて、この女、なかなか上玉だぜ、こりゃ売ればかなりの値がつくぞ」
そして三人目もその顔にいやらしい笑みを貼り付けて話に割ってはいった。
「売っちまう前に、まず俺たちでも楽しもうぜぇ」
3人の話は一致したようだ。
そして男たちが女へと襲い掛かってくる。
女はそこから1歩も動かない。
「ちっ」
俺は舌打ちして立ち上がる。
体を動かすたびに体中が激痛という悲鳴を上げるがそんなものは頭の中から閉め出した。
そして銃口を男たちに向ける。
思えば初めてだったのかもしれない、誰かのために銃を向けるのは・・・・・・
3発の銃声が、町に木霊した。


あとがき
今回から過去偏に突入です。
果たしていつこれが終わることやら・・・・・・
Date: 2004/06/11


ACT58:闇からの囁き
暗い・・・・・・・
あたりに光はまったくない、闇がこの世界のすべて。
そんな世界に俺は今、身をおいている。

―――――ああ、また、この夢か・・・・

夢だということはわかっている。この夢を見るのは初めてじゃないからな。

―――――うぜぇなぁ・・・・・・

俺は闇の中を身動きひとつできずに沈んでいった。

―――――一体いつになったら・・・・・

―――――こんな夢を見なくなるのだろう・・・・・

沈んでいく体が不意に止まる。
そしてここからはいつも通り、目の前に俺の身長くらいある巨大な鏡が出現する。
だがそこに俺の姿は写ってはいない。
代わりに鏡に映っているのは、俺と同じくらいの身長の道化師。
そのピエロのメイクの笑みが俺を嘲笑しているように見えてひどく腹が立つ。
「うぜぇ」
思わず声が漏れる。
「ウヒャヒャヒャヒャヒャ」
そしてそいつはそれを待っていたかのように笑い出す。
その笑いかが、ひどく癇に障る。
「やあヒール、また来たんだねぇ」
「来たくて来たわけじゃねぇ。さっさと出て行くさ」
「そんなさびしいこと言わないでさぁ、お話でもしようよぉ」
「お断りだね」
クソッ、こいつの声を聞くたびに心がかき乱される。
不快でたまらない。
「ヒール、君はいつまでこんな旅を続けるんだい?」
「愚問だな」
このままではこの夢から抜け出せない。
いいだろう、お前の話に付き合ってやるぜ、クソピエロ。
「あいつを、ミリアを取り戻すまでだ」
「アハハハハハハ!無理無理、だって彼女は、もういないんだから」
奴の言葉が刃となって俺の心を切り刻む。
だが俺はひるまなかった。
「それがどうした。たとえあいつがどこにいようと、俺はあいつを見つけ出す。そして、連れ戻すまでだ」
「やめなってば、たった一人の女のためにここまで傷つくことなんてないよ」
「てめぇが決めんじゃねぇよ」
「アハハハハ、女なんて、いくらでもいるじゃん、君はかっこいいんだから、もう彼女のことなんて忘れちゃいなよ」
その言葉を聴いた瞬間、俺の中にどす黒い闇の奔流が渦巻いた。
「その薄汚ねぇ口で、あいつを語るんじゃねぇ!」
銃を引き抜き鏡に銃口を向ける。
だが奴はそのふざけた態度を崩さなかった。
「アハハハハ無駄無駄。その銃じゃ僕は殺せないよ」
無視して引き金を引く、だがいつもなら嬉々として飛び出す弾丸が飛び出すことはなかった。
「その銃は撃てないよ。弾がはいってないんだから」
「そうかい。それがどうした?」
「え?」
「お前のような下劣な奴にはわからねぇだろうが、俺が何よりも大切に想っているのは、後にも先にも、ミリアだけなんだよ!」
言葉と共に、俺は銃の台尻を鏡に叩きつけた。
鏡は粉々に砕け、同時の道化師も砕け散る。
「こんなことしても無駄だよ。僕はいつも君の近くにいるんだからさ・・・・」
「じゃあいつでもこい、そのたびに殺してやる」
そう言って俺は、最後に奴の頭が映っていた鏡を踏み砕いた。





「・・・・・・・・・」
目が覚めるとそこは、見慣れない部屋だった。
部屋の調度品から、どこかのホテルの一室であることはわかった。
だが問題はなんでそんなところにいるかということと・・・・・・
「おや?気がつきましたか?ヒールさん」
目の前でいつもと変わらぬ笑顔を見せるクロノだった。
「・・・・・・なんでお前がここにいる?」
胸糞悪い夢を見たからだろうか、俺の声には棘が混じっていた。
「いやだなぁ、あなたの怪我の具合を見ていたんですよ。結構派手に砕かれましたからね。どうですか?まだ痛みますか?」
いわれてはじめて気がついた。
意識を失う前までは脳が焼ききれるんじゃねぇかってくらい痛みを叫んでいた俺の右腕は完璧に治癒していた。
これもこいつの力なのか?
「いや、もうなんともない」
「そうですか」
しばらく沈黙だけがあたりを支配した。
「・・・・・・なにも、聴かねぇのか?」
沈黙に耐え切れなかった俺が口にした言葉は、俺の意思とは無関係な言葉だった。
「聴けば、あなたは答えてくれるんですか?」
クロノはいつもの笑顔で俺に聞いてきた。
俺はただ、押し黙るしかなかった。
「あなたが彼らの間に何があったのか、おそらくこれはこれからの僕たちの旅に大きく関係してくるでしょう。ですが僕にあなたと彼らの関係を聞き出すすべはありません。あなたの心を土足で汚すことなく、その内を知るような術を、僕は持っていません。
ですから待ちますよ。あなたが自分から話してくれる、その日まで。たぶん、他の皆さんも同じように思ってるんじゃないでしょうか」
年の功だからだろうか?こいつには俺の胸のうちなんてとっくにばれてるんじゃないだろうかと思う時がある。
「クロノ」
「はい?」
「みんなをこの部屋に集めてくれ。話がある」
どうせいつか話さなければならないことだ。今話しておいても同じだろう。
「解りました。ちょっとまっててください」
5分も立たないうちに俺が寝ていた部屋に全員がそろった。
「みんなに話しておきたいことがある」
俺は慎重に切り出した。
「奴らのことだ」
もう解っていたのだろう、誰もそのことに動揺しなかった。
「もう解っていると思うが、俺は以前奴らにあったことがある。奴らは、罪だ」
「罪?」
ジンの声に俺は黙ってうなずく。
「人間が誕生してから今まで、その心の奥底には七つの罪が刻み込まれている。グリード(強欲)、グラトニー(大食)、エンヴィー(嫉妬)、ラスト(色欲)、スロウス(怠惰)、プライド(傲慢)、ラース(憤怒)。こいつらは原罪って呼ばれていて、人間が持つ闇の体系化だそうだ。奴らは、その罪が具現化した姿なんだよ。ここまでで何か質問は?」
「原罪の具現化、ということは奴らは人間ではないのか?」
ケルヴィンの疑問はもっともだ。
「それは俺にもわからない。ただあいつらは自らのことをそう呼んでいたからな。たぶん人間とは少し違うんだろう。ほかには?」
「あいつらが言っていたあの方ってのはなんなんだ?」
これはジン、この男がまともな質問をするとは珍しい。
「奴らが主と崇めてる奴らのことだ。その正体は人の、いや、すべての生命の死と憎悪を糧とする最悪の魔人、ルシファー」
奴の名を口にした途端、俺の脳裏に奴に始めてあったときの絶望感が思い出された。
我知らず、冷や汗が頬を伝った。
「ち、ちょっと待ってよヒール」
遠慮がちに、リディアが口を開く。もっとも、聞きたいことなど大体予想できるが。
「なんであなた、そんなに詳しく知ってるの?あいつらとの間に一体何があったの?」
予想通り、まあ、こんなことを聞かれるのは覚悟してたけどな。
「おいリディア、そんなこと今は」
「いや、いいんだジン、そのことも話そうと思っていたから」
ジンの制止の声を俺が制止する。
「いいのか?」
「ああ、もとよりそのつもりだしな」
少しの間、目を閉じる。
そして語り始めた。少しだけ過去の、昔話を・・・・


あとがき
ツキ「しゅうりょゴバァ!?」
ジン「重いわ!今回の話!」
ツキ「い、痛い!あ、足をどけて!あ、頭が砕ける!」
ジン「なんだよ今回の話は!最初から最後まで暗いじゃねぇか!」
ツキ「イタイイタイ!足をぐりぐりさせないで!」
ジン「この小説は遊戯王だよな?」
ツキ「何をいまさら、当たり前じゃないですか」
ジン「じゃあなんで決闘シーン皆無なんだよ!こんなに話が重いんだよ!」
ツキ「それは・・・・・・」
ジン「それは?」
ツキ「暗めの話が好きだから♪」
ジン「♪じゃねぇぇぇぇぇ!」
ツキ「バックドロップ!?」
ズギャシャァァァァァ!
ツキ「き、救急車・・・・」
ジン「そのままくたばれや」
Date: 2004/06/08


ACT57:動き出した影
あいつは、もういない。
どうして、あいつが?
神様よ、あんた、自分を信じてる奴を救ってくれるんじゃなかったのか?
だったらなんで、あいつを助けてくれなかったんだ?
所詮神は何者も救ってはくれない。
自分や、自分の大切なものを護れるのは、自分だけ。
・・・・・・・いいだろう、だったら俺は強くなる。
大切なものを、取り戻せるほどに。
神様、悪いがあんたの力、貸してもらうぜ。
おっと、あんたに拒否権はねぇよ。
いやだって言っても、貸してもらうぜ。





俺は地べたに這い蹲りながらも、ロアから目をそらすことはなかった。
「貴様は、貴様らだけは、俺は絶対にゆるさねぇ!絶対に、ぶっ殺してやる!」
「フフフ、たった一人の女のために、怒りと憎悪に身を任せるか。美しくも愚かしいな」
聞こえてきた第2の声。
この声にも、聞き覚えがある。
声のしたほうを見る。そこには予想通りの顔があった。
肩口でそろえた金髪に、青い瞳、外見の年齢は13歳ほどの見た目麗しい少年。
だがその目には大の大人ですらないような濁りがあり、その口から2本の牙が除いている。
「グラトニー・・・・・・」
俺は、それの称号を口にする。
「おやおや、声にも殺気がこもってるよ。怖い怖い。それから大食(グラトニー)なんに言うのはやめてくれよ。僕にも立派な名前ができたんだ」
そんなもの、聞きたくもない。
「改めて自己紹介させてもらうよヒール。僕の名前はミハエル、どうだい?いい名前だろう?」
「貴様のようなやろうがそんな上等な名前を名乗んじゃねぇよ。世界中のミハエルさんに失礼だろうが」
唾でも吐きつけるように、俺は言った。
「口の利き方に気をつけろよヒール。僕がその気になれば、お前を八つ裂きにすることだってできるんだからな」
「やってみろよ」
「何?」
俺は立ち上がり、そしてミハエルをまっすぐに見据えて、言った。俺の、覚悟を・・・・・・
「たとえ八つ裂きにされて、首だけになったとしても、俺は貴様らの喉元に喰らいついて殺す」
「へぇ、面白いじゃん」
だが答えたのは、ミハエルではなくロアのほうだった。
「ロア、そいつはまだ殺すなと」
「大丈夫だよ、ちゃんと生かしておくから」
ロアの腕が俺へと伸びてくる。
強がっては見たが俺はもう魔力もほとんど残ってねぇし砕けた腕の痛みのせいでさっきから脳が悲鳴を上げてやがる。
「手足を切り取っても、同じ台詞が言える?」
「ヒールから離れやがれ!」
そのとき、俺の頭上を飛び越えて、ひとつの影が、銀光とともに俺とロアの間に降り立った。
咲いた血の花は一輪、突如乱入したジンの一撃によって、ロアの腕の肘から下が宙を待った。
そのままジンは追撃の切り上げを放つ!
だがそこに乱入してきたのは、ジンの陰に寄り添っていたジルネール、ジンの刃は、彼女の刃によって止められてしまった。
「チッ!」
舌打ちと共にジンは俺を抱えて跳躍、3人との距離をとった。
「申し訳ありませんマスター。処置が遅れました」
「ああ、かまわないよ、油断していた僕が悪いんだから」
ロアは腕を切り飛ばされても表情ひとつ変えることはなかった。
「まったく、いいざまだね、ロア」
嘲笑するミハエルの声。
「フフフ、今回ばかりは弁明の仕様がないね」
そう言ってロアは懐から1本の注射器を取り出した。
「まったく、いきなり斬り飛ばすなんて、酷いじゃないか」
おもむろにその注射器を切断面へと運んでいく。
そして、その注射器の中身を注入する。
「な!?」
そしてロアの腕に劇的な変化が起こった。
切断面から新たな骨がはえだし、神経が再構築される、そして筋肉が構成され最後に皮膚が貼り付けられた。
その間、わずか数十秒にも満たない。
ロアは新たに生えてきた腕を2,3回握り満足そうにうなずいた。
「修理完了」
「マジかよ・・・・・」
俺を抱えているジンが驚愕の声を漏らした。
俺も声にこそ出していないが心中は同じようなものだ。
「それで?どうするの?」
ミハエルが髪をいじりながらロアに聞いた。
「そうだね、まだ彼らを殺すのはちょっとまずいよね。だからとりあえず、神だけもらっていこう」
そう言ってロアはおもむろに後ろのクリスタルへと近づいていった。
「まずいですよ!彼らはヴェルダンディ様を奪うつもりです!」
「そいはさせんぞ!行け!サファイアドラゴン!」
「お願い!ヂェミナイ・エルフ!」
「いきなさい!熟練の黒魔術師!」
「頼むぜ、鉄の騎士ギアフリード!」
ケルヴィンが、リディアが、クロノが、ジンが、それぞれのモンスターを召喚した。
モンスターたちはロアとミハエルに向かって肉迫していく。
だが、ケルヴィンとジンのモンスターは、ジルネールの剣の露とされ、クロノとリディアのモンスターは突然現れた影によって切り裂かれてしまった。
「な!?」
その影は、中世の貴族などが着るような服を身にまとい、口から牙を除かせたモンスター、ヴァンパイア・ロードだった。
「ご無事ですか?ミハエル様」
現れたのは一人の女。
白いドレスに身を包み、ブロンドの長い髪と澄んだ青い瞳を持った美女だった。
「そんな、どうしてあなたが・・・?」
クロノが驚愕の声を上げる。まるで、死者の復活でも目撃したかのようだ。
「なぜあなたがここにいるのです!あなたは確かに、僕が殺したはずですよ!マリアさん!」
殺した?じゃあ、なぜあの女はここにいるんだ?
「ああ、彼女を倒したのは君かい?残念ながら、彼女はまだ生きて痛んだよ。虫の息だったけどね」
「え?」
「だから僕の血を飲ませたんだ。ヴァンパイアは血液搾取によって、体の傷を治すこともできるからね。でもそれだけじゃつまらないし、僕もロアのような玩具がほしかったんだ。だから彼女に飲ませた血にちょっと、僕の意思を混ぜたんだ。普段の彼女なら何てことなかったのかもしれないけど、弱った状態ならわけない、この上なく完璧に支配できたよ」
「・・・・・・・」
クロノの顔に、怒りの色が出る。
だがそれでも奴は取り乱すことはなかった。
「それじゃあ、神をもらっていくとしようか」
再びロアが歩き出す。
「汚ねぇ手で、そいつに触れるんじゃ、ねぇよ!」
俺は1歩前に出て1枚のカードをかざす。
「ぐぅ!」
そのカードは過去の女神ウルド、召喚条件も完全に無視した召喚、普通なら絶対に召喚できない。
だが、今ここでこいつを召喚しなければ奴にヴェルダンディが奪われる。
力貸して出てきやがれ!ウルド!
カードが光り輝く、そして、過去の女神が降臨した。
「薄汚い罪人どもよ!我が姉妹に触れるな!」
ウルドが剣を突きつける。
「・・・・・・・・わかった、解りましたよ」
ロアが両手を挙げて降参の意を示す。
「ロア!?」
「だってしょうがないじゃん、神様には勝てないって」
「しかし!」
「それに、いいんじゃない?ここでとられても、また取り返せば」
「・・・・・・それもそうだな」
「それじゃあね、ヒール、次に会うときまで、その憎悪を大事に取っておくんだよ」
そう言って、4人の姿はまるで幻のようにかき消えた。
と同時に、俺の意識も闇へと落ちた。


今回あとがきはお休みです。
Date: 2004/06/07


ACT56:真実
ウルドの渾身の一撃が烏哭に炸裂し、同時に奴のライフも0になった。

ヒールLP2300
烏哭LP0

「・・・・・ぐ・・・・ぁ・・・・・」
なんと、ウルドの一撃を受けてまだ生きてるとは、
こいつ、生命力もなかなか高かったんだな・・・・
俺はウルドをカードに戻した。そこへ・・・・・
「おいヒール!大丈夫か!?」
そこに、別々の道に行っていたジンたちがやってきた。
全員ここにいるということは、あいつらもそれぞれの勝負に勝ったってことか。
「よお、たった今終わったところだぜ」
俺は戦闘をやってくるジンに返事を返した。
「そうか、よっしゃ、これであとは現在の女神ヴェルダンディを奪い返すだけだな!」
そうだった・・・・決闘に夢中で忘れてた。
「忘れるでないわ、馬鹿者が」
心を読まないでください、神様・・・・・
「いや〜すごいねヒール君」
出し抜けな拍手の音、そして聞くものの神経を逆なでする声、まさか・・・
声のしたほうを見るとそこにいたのは白衣を着た科学者風の男、予想通り最澄だった。
傍らにはあの物騒なメイド服の少女が付き従っている。
「馬鹿な・・・・」
後ろのほうで驚愕のジンの声が聞こえる。
「さ、最澄、わ、私を助けよ・・・ッ!」
烏哭が苦しげな声を上げる。
まずいな、今ここで奴に回復されてしまったら厄介なことになる。
俺は回復を阻止しようとカードを掲げた。
だがことは俺の予想とは大きく異なっていた。
「いやだね」
あろうことか、最澄は主の命令を拒否したのだ。
「な、なんだと!?貴様、私の命に背くつもりか!?」
「うるさいなぁ、君はもう、用済みなんだよ」
「な、なんだと・・・・」
「僕が君にコンタクトを取ったのはほんの気まぐれ、ただ新しい遊び道具がほしかっただけなんだから」
「な、なんだと・・・・?」
遊び道具?つまり奴は、もとから月鬼衆にいたわけではなく、あとから何らかの形で入ったってことか・・・・・
「まあ、神を奪ってきてくれたし、僕の作った偽神(デミ・ゴッド)の実戦データが取れたのは貴重な情報だったけどね」
偽神、だと・・・・・?
「馬鹿な!私は確かに、神に選ばれたものだ!そのときの記憶だって」
「人間の記憶ってさ、結構もろいんだよね」
動揺する烏哭に対して、最澄はあくまでマイペースだった。
「ちょっと脳をいじるだけで、簡単に改変できるんだから」
「な!?」
打ちひしがれたようにうなだれる烏哭、その様を満足そうに見つめる最澄。
なんだ?俺は前にも、こんな光景を見たような・・・・・
「さてと、もう話すこともなくなったわけだし、さっさと神をもらっていくよ」
そう言って奴は後ろの壁の一部を押した。
すると壁が二つに分かれ、中からクリスタルに封じ込められた1枚のカードが現れた。
「ヴェルダンディ様!」
クロノの声が聞こえた。だが俺は動けない、そのままそこに立ちつくすだけだった。
「まて!最澄!貴様、よくも!」
「うるさいなぁ、君はもういいんだよ、ジルネール、殺しちゃえ」
「はい、マスター」
最澄の命令を受けて、メイド服の少女、ジルネールがその手に持った大剣を振り下ろした。
飛び散る鮮血、烏哭は断末魔の悲鳴すら上げることなく死に絶えた。
しばらく、誰も動けなかった。
「ちょっと待て」
最澄をジンが呼び止める。
「なんだい?」
「どうしてお前が生きてやがるんだ?確かに殺したはずだぜ?まさかあれもダミーだってんじゃないだろうな?」
「いいや、あれは僕のダミーではあるけど本物の最澄さ」
「なんだと?」
「いや、そもそも最澄という人間は存在しないんだよ。過去にも、未来にもね」
「どういうことだ?」
「なるほど、つまりはそういうことか・・・・」
納得顔にケルヴィン、俺もうすうす感ずいてはいる。
「何?」
「最澄という人物は、奴が作り出した架空の人物ということだ」
「じゃああの人は、一体何者なの?」
「フフフ、そうだね、君たちになら、自己紹介してもいいかな」
そう言って最澄、いや、最澄と名乗っていた男は自らの顔に手を掲げる。
そしてその手が発光し始め、
やがて奴の顔全体に変化が送った。
短かった髪は腰に届くほどに長くなり、瞳の色は黒から赤に変わり、全体の雰囲気が、さらに禍々しくなっていった。
「な!?」
その姿を見たとき、俺の中に抑えきれない黒いうねりが生じた。
「自己紹介をさせてもらうよ、僕は・・・・・」
「グリードォォォォォォォォ!」
俺は絶叫しながら奴へと向かって跳躍した。
手にはすでに銃を構えている。
「ヒール!?」
後ろのほうで誰かが叫んでいたが俺には聞こえない!
この男!こいつは、こいつらだけは絶対にゆるさねぇ!
「やれやれ、相変わらず短気だね、ヒールは」
その男は俺の銃を持った腕をつかみ、そしてもう片方の腕で俺の首を恐るべき速さでつかんだ。
「がッ!」
いくがもれる、それがどうした!
「殺してやる、貴様らだけは絶対に!」
「うるさいな」
瞬間、俺の銃を持った腕に激痛が走った。
「ぐぅッ!」
思わず銃を取りこぼす。
見ると俺の右腕は完全に砕けていた。これでは使い物にならない。
そして奴は俺の首をつかんでいた腕を放し、俺を解放した。
地べたにはいつくばった俺は、それでもなお、その男をにらみつけた。
「うん、相変わらずいい憎悪だ。これならあの方も満足できるね」
「だまれ、グリード」
「僕にも名前ができたんだ。強欲(グリード)は僕の称号、僕の名前はロアさ」
「お前の名前なんざどうでもいい!殺してやる、絶対に!」
俺の心は今、殺意と憎悪に包まれていた。


あとがき
今回短いですね。時間がないから仕方がないとはいえ、満足いく出来ではなかったですね。
暇があれば書き加えます。
Date: 2004/06/07


ACT55:激突、神VS神
俺の前に立ちはだかる巨大な獣、絶望の名を冠するそれは、世界のすべてを呪うような咆哮をあげた。
だが俺はそんなものはまったく恐れていない。
恐れる理由など、何も無い・・・・

ヒールLP2300手札4枚
場 デュナミスヴァルキュリア、雷帝ザボルグ、創造の代行者 ヴィーナス、伏せ1枚

烏哭LP300手札3枚
場 絶望の巨獣―暴走神レヴァイアサン―

絶望の巨獣―暴走神レヴァイアサン― 闇属性 ☆12 獣族:効果
ATK??? DEF???
このカードは通常召喚できない。自分の場に出ている魔法、罠カード5枚を墓地に送り特殊召喚する。
このカードは魔法、罠、モンスターの効果で破壊されず、コントロールも変更できない。
このカードが魔法、罠、モンスターの効果を受けたとき、エンドフェイズにその効果を無効化する。
また、このカードが墓地から特殊召喚されたとき、召喚ターンは攻撃できず、エンドフェイズに墓地に送られる。
このカードが特殊召喚されたとき、自分の場に出ているすべてのモンスターを破壊し、自分は新たにモンスターを召喚、反転召喚、特殊召喚できない。
このカードの攻撃力と守備力は自分の墓地にある魔法、罠カードの数×500ポイントとなる。
このカードはすべての相手モンスターに1回ずつ攻撃できる。

絶望の巨獣―暴走神レヴァイアサン―攻撃力12000守備力12000

神の出現により、戦況は大きく奴に傾いた。
だが俺とて、このまま黙ってやられるわけにはいかない。
必ず、その神を攻略してやるぜ。
「貴様がなんといおうと、私のレヴァイアサンを倒すことなどできん。レヴァイアサンよ、奴のモンスターたちを破壊しろ!」
「グルオォォオォォォォォォォォ!」
咆哮、ただそれだけのはずなのに俺の体にびりびりと痛いくらいの衝撃が走る。
そして、その紅い瞳が俺のモンスターたちを捕らえた。
一瞬の後、その獣の巨躯が消える。
攻撃に移ったのだと悟った瞬間には、俺はほぼ無意識のうちにリバースカードを発動させていた。
「リバースカードオープン!智天使(ケルビム)の戦略!これでこのターンの攻撃を無効化させる!」
巨獣の爪が穿ったのは、知識の天使たちが作り出した幻影だった。
「さらに!智天使の戦略の効果はそれだけじゃない!場の天使族モンスターを生贄にささげ、相手モンスターを破壊する!俺は創造の代行者 ヴィーナスを生贄にささげるぜ!」
ヴィーナスの体が発行し、光の粒子となって砕け散る、光の粒子は再び一箇所に集まり、一本の巨大な矢となってレヴァイアサンへと突き進む!
「無駄だ!神にそんなものが通用するかぁ!」
光の矢はかなりの高速で飛んでいたが、レヴァイアサンの動きはそれすらも凌駕していた。
その巨躯に似合わぬ俊敏さで光の矢の横腹をその尾で叩き折りやがった。
「な!?」
「神をそのようなカードで倒せると思ったか!愚かだな!ヒール!」
「クッ!」
つまり俺は、無駄にモンスターを生贄にしたってことかよ・・・・

智天使の戦略:通常罠
相手プレイヤーが攻撃を宣言した瞬間に発動、その攻撃を無効化し、バトルフェイズを終了させる。
さらに自分の場に出ている天使族モンスター1体を生贄に捧げることで相手モンスター1体を破壊できる。

念のために伏せておいたカードだったが、まさかこんな役に立つとはな・・・・これが無かったら即死だったぜ。
「私はこれでターンエンドだ」
「俺のターンだな」
カードをドローする手が止まる。
今の俺の手札に、攻撃力12000を誇るレヴァイアサンを倒せるカードは無い。
いや、そんなカード、俺のデッキにすら入ってはいない。
だがもし、俺の推測が正しければ。
たった1枚だけ、この状況を打破できるカードが残されている。
だが、それをここで引き当てる確率はきわめて低い。
レヴァイアサンが全体攻撃の能力を持っているためここを逃せば場にモンスターを並べることはできなくなるだろう。
ここで引かなければ、負ける・・・・・
現実は物語のようにうまくできてはいない。
たとえば探偵小説などのように、事件現場に都合のいい証拠など落ちてはいない。
敬謙に神を信じるものを、神は救ってはくれない。
いくら信じようが、信じただけで望むカードが引けたらこの世に敗北者なんて存在しないだろう・・・
俺は・・・・・勝てないのか・・・?
(案ずるな)
「!?」
今、頭の中に声が聞こえてきたような・・・・
(案ずるなヒールよ、恐れることなど何がある?恐れるな、前を見ろ、臆するな、眼を開け、神は確かに最強だ。だが無敵ではない。倒せないものなどありはしないのだ。さあヒールよ、我を呼べ!我と共に戦おうぞ!)
顔を上げる、そして眼を開き、まっすぐに前を見据える。
恐れるものなど、何も無い!
「ドロー!」
カードを引く!
・・・・・・ドクン・・・・・・・
「!」
この鼓動、感じる!
「俺は場の2体の光属性モンスターを生贄にささげ」
ヴァルキュリアとザボルグが天を目指す光の柱となる。
柱はやがて一つに絡み合い、そして世界がひときわ強い光に包まれた。
「降臨せよ!過去の女神ウルド!」
そして、真紅の鎧に身を包み、漆黒の髪をはためかせた、過去を司る時の女神が現れた。

過去の女神ウルド 光属性 ☆9 天使族:効果
ATK3000 DEF2600
このカードは通常召喚できない。自分の場の光属性モンスター2体を生贄に捧げて特殊召喚する。
このカードが戦闘によって受けるコントローラーへの戦闘ダメージはすべて0になる。このカードが破壊されたとき、このカードは自分のフィールド上に一度だけ特殊召喚できる。この効果で特殊召喚した場合、相手のフィールドのモンスターをすべてデッキに戻す。その後相手はデッキをシャッフルする。この効果はデュエル中一度しか使用できない。

「ば、馬鹿な・・・・・貴様も、神を召喚しただと・・・?」
「いくぞ、ウルド」
「御意!」
ウルドがその体を疾走させる。
「!迎え撃て!レヴァイアサン!」
一瞬送れて烏哭の命令が飛ぶ、レヴァイアサンが命令に従いその巨躯を動かす。
巨獣の巨大な腕がかすむ。
かろうじてその腕が、横殴りにウルドに向けられていたことを視認する。
「ウルド!横だ!かわせぇッ!」
声の限り叫ぶ、その声が聞こえたかどうかは解らないがウルドはその純白の翼を羽ばたかせて上へと急上昇した。
巨獣の一撃は空振りし、一瞬だけ女神の姿を見失う。
「はあぁぁぁ!」
気合と共にウルドの剣が煌く。
「受け止めろ!レヴァイアサン!」
ウルドの渾身の一撃を、レヴァイアサンは片腕で受け止めた。
受け止めた箇所から血が地面へと飛び散る。
「ガアァァァァァァ!」
咆哮と共に巨獣が腕を振るう、
ウルドはその動きに逆らわずに剣を抜き、後退する。
単純計算で、ウルドとレヴァイアサンの攻撃力は4倍ほどの差がある。
この程度の攻撃では無理か・・・・・
手札を見渡す、だが今の俺の手札にウルドを援護できるカードは無い。
「ウルド、もう1度いけるか?」
「無論だ。我を信じよ」
「当然!頼むぜ、ウルド!」
再び彼女が疾走していく、俺にできることは、彼女が致命傷を受けないようにレヴァイアサンの攻撃位置を教えることくらいだ・・・
レヴァイアサンがその巨大な爪を振り下ろす、だがそんな単調な攻撃、ウルドにあたるわけが無い。
ウルドはあっさりと横に交わす。だがそこに奴の尻尾が迫っていた。
「ウルド!後ろだ!尻尾が来るぞ!」
俺の警告は間一髪で間に合った。
ウルドは瞬時に後ろを振り返り、剣でその巨大は尾の一撃を受け止めた。
「くぅ・・・・ッ!」
苦鳴がウルドの口から漏れた。
まずい、このままでは押し切られる!
とっさに手札を見渡す、そして見つけた。ここでウルドを援護できるカードを
「手札から速攻魔法、突進発動!」
ウルドの力が一時的に高まった、それでもレヴァイアサンの攻撃力には遠く及ばないが尻尾くらいは撥ね退けられるはずだ。
「やあぁぁぁぁ!」
気合と共にウルドが尻尾を撥ね退ける。
同時に翼をフルに使った空中転回、一瞬に巨獣の背後に回る、この間合い、獲った!
「いけ!ウルド!」
ウルドが巨獣に向かって剣を突き出す。
剣が光り輝き、そして放たれる!
「エーテルマテリアル!」
放たれた光の奔流、それがレヴァイアサンを包み込んだ。
「やった!」
俺は歓声を上げた。
だが次の瞬間、それは驚愕のうめきへと変わる。
光の奔流を突き抜けて、レヴァイアサンの爪がウルドの体を貫いたのだ。
「な!?」
俺は驚愕の声を上げた。
馬鹿な!確かに、入ったのに!?
「馬鹿めが!ウルドとレヴァイアサンではもともとの攻撃力が違いすぎるんだよ!」
「かはっ!」
ウルドは血しぶきを撒き散らしながら光の粒子となって消えていった・・・・・
「な・・・・・・」
ウルドが、負けた・・・・?
「そ・・・・んな・・・・」
「何を呆然としておる?ヒールよ」
「え?」
ウルドの声が聞こえた。なんで・・・?
すると俺の場にも変化が起こっていた。
光の粒子たちが集まり、白い光が世界を包んだ。
たまらず目を覆う。
光が収まったとき、そこには先ほどと寸分違わないウルドが立っていた。
「馬鹿な!?」
驚愕の烏哭の声、だが驚いているのは俺も同じだ。
「ウル・・・・ド・・・?」
「ヒールよ、まさかお前、私の蘇生能力を忘れておったのか?」
「あ・・・・」
忘れてた・・・・・
「まったく、しょうがない奴だな」
呆れ顔のウルド、事実なので何も言い返せない。
ついでにウルドのもうひとつの効果も思い出した。
「ウルド」
「解っておる、さあ、絶望の獣よ、過去へと帰るときが来たぞ」
ウルドはレヴァイアサンに向かって両手を突き出した。
そして、ウルドの前方、ちょうどウルドとレヴァイアサンの中間地点に黒い穴が現れた。
「開け!クロノスゲート!」
開いたのはどうやら時空の門らしい。
「グオォォォォォォォォォォォォ!」
絶叫と共にレヴァイアサンはその門に吸い込まれていった。
思ったとおりだ、神は魔法や罠、モンスターの効果で破壊されないだけであって、手札やデッキに戻すことは可能だったわけだ。
「ば、馬鹿な・・・・私のレヴァイアサンが、無敵の、神が・・・」
「お前の敗因を教えてやるよ」
驚愕の烏哭にむかって俺は言った。
「それは神の力を過大評価しすぎたことだ。神は確かに最強だが、無敵ってわけじゃないんだよ。いくぜ、ウルド!」
「任せるがいい!」
天へと舞い上がるウルド、そして剣を突きつける。
「滅びるがいい!エーテルマテリアル!」
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
輝かしい光の奔流が、烏哭を飲み込んだ・・・・・・・


あとがき
というわけで終了です。
今回神同士の戦いをちょっと派手にしてみましたがどうでしょうか?
意見、感想待ってます。
Date: 2004/06/04


ACT54:暴走神
倒れふす烏哭、俺はそれを見下ろして心の中だけで舌打ちする。
本当ならこのターンで倒しておきたかったんだが、奴のカードに阻まれてしまった。
何とかこのままけりをつけたいところだな。

ヒールLP3900手札1枚
烏哭LP3300手札4枚

ハンドアドバンテージは奴が上、フィールドアドバンテージは俺が圧倒的に上、ライフアドバンテージは互角か・・・・
場の状況は、烏哭の場には何も無い。
俺の場には攻撃表示で存在する力の天使ゼルエル、雷帝ザボルグ、デュナミスヴァルキュリア、創造の代行者 ヴィーナスがいる、このまま一斉攻撃を仕掛ければ勝てるんだが、奴もそう何度も攻撃を通す気は無いだろう。

力の天使ゼルエル 炎属性 ☆8 天使族:効果
ATK2700 DEF2600
このカードは相手からの魔法カードの効果を受けない。
このカードは自分のバトルフェイズ中、攻撃力が800ポイントアップする。

見ると烏哭がちょうど立ち上がるところだった。
ぜるえるにきりつけられた部分が真っ赤に染まっている。
傷口を押さえながらも烏哭の目は俺を捉えていた。
「俺はこれでターンエンドだ」
とりあえず、このターンはもうすることが無いのでターンを明け渡しておく。
「私のターンだな、ドロー!」
カードを引く烏哭、さっきよりも気迫が増している。
「私は強欲な壷を発動させる」
気味の悪い笑いを浮かべた壷の効果で2ドローの機会を得た烏哭、シュパパっと音がしそうなほどの勢いでカードを引く。
「まずはその忌々しい天使を破壊するとしよう。魔法カード発動、ハンマーシュート」
突然、ゼルエルの頭上に巨大な木槌が現れた。
木槌はいっさいの停滞無くゼルエルの頭上へと振り下ろされゼルエルはその下敷きになってしまった。
下敷きにされた衝撃で空に舞い散った羽根が風に揺られながら地面へと落ちていった。
「さらにカードを2枚セットし、ターンエンドだ」
「俺のターン!ドロー!」
今手札には状況を一変させるカードは無い、できればひきたかったが引いたカードはダグラの剣、これではだめだ。
俺は今までの決闘の展開から、奴が伏せてあるカードを予想してみた。
今まで出まだ使っていない攻撃防御、もしくはモンスター破壊のカードは・・・・
攻撃の無力化、魔法の筒、炸裂装甲(リアクティブアーマー)、サンダーブレイク、強制脱出装置etc・・・・・
まだ結構あるが、全体効果のカードはもう無い。
この3体のモンスターで攻撃を仕掛ければ大なり小なり奴のライフを削れるだろう。
「俺は3体のモンスターで攻撃を仕掛ける!ヴァルキュリア、ザボルグ、ヴィーナス、プレイヤーにダイレクトアタック!」
3体の僕たちが烏哭へと迫る!
だが予想通り、奴のリバースが発動した。いくらなんでもそれ1枚でこの猛攻は止められまい!
だが俺の予想に反してモンスターたちは突如現れた光の壁に攻撃を跳ね返されてしまった。
「なに!?」
「永続罠カード、光の護封壁発動。私は3000ポイントのライフを支払い、お前のモンスターの攻撃を止める」
「・・・・・・ターンエンドだ」
ヒールLP3900手札2枚
烏哭LP3300→300手札3枚

おかしい、確かに光の護封壁なら俺のモンスターたちの攻撃を止めることができる。だがその代償として、奴のライフはもう風前の灯だ。
かえって自分のライフを減らしただけのような気がするぜ・・・・
「私のターンだ、ドロー。リバースカードオープン、セメタリー・ボム発動、このカードの効果でヒール、お前の墓地にあるカード×100ポイントのダメージを与える」
今俺の墓地にはカードが16枚、つまり1600ポイントのダメージを受けるってわけか。
俺の墓地のカードが俺の周りに集まりだす。
何事かと思ってみているとカードたちが爆発し始めた。
1枚1枚の爆発は小規模だがここまで数が多いとさすがにきついぜ。
「ぐぅ・・・・・ッ!」
爆発が収まったとき、俺は思わず床に手をついていた。
「カードを2枚セットして、ターンエンドだ」
「俺のターンだな、ドロー」
カードを引くが奴の光の壁が邪魔で攻撃できない。
そのまま何もできずにターンだけが過ぎていった。
そして場の状況は以下の通りとなった。

ヒールLP2300手札4枚
場 デュナミスヴァルキュリア、雷帝ザボルグ、創造の代行者 ヴィーナス、伏せ1枚

烏哭LP300手札3枚
場 光の護封壁、伏せ4枚

やはりあの光の壁が邪魔だな・・・・・何とかならないものか
「私のターンだな、ドロー」
引いたカードを見た烏哭の顔が、凄絶な笑みに歪む。
「フハハハハハハハハハ!引いたぞ!これで私の勝利は揺るがない!」
笑いながら烏哭は引いたカードを場に出した。
すると奴の場の魔法、罠たちが光の粒子となって虚空へと姿を消した。
「来るがいい!絶望の巨獣―暴走神レヴァイアサン―!」
烏哭のフィールドを埋め尽くすほどの巨大な体を持った1匹の獣が、その姿を現した。
全身を黒く輝く体毛で多い、巨木5本分に相当するような巨大な爪、すべてを噛み砕かんとする牙、巨大な山2個分にはなりそうな巨躯、そして何より目を引くのはこの世のすべての絶望と憎悪を詰め込んだかのように光る紅い眼・・・・・・
その姿、その威圧感、まさしく・・・・・・
「神・・・・だと・・・・?」
理性が、本能が、そのことを受け入れることを拒否している。
なのに俺の口は、俺の意思とは無関係にその絶望的事実を口にした。
「その通り、これぞ、我がデッキに眠る唯一のモンスター、そして、絶望の具現結晶だ・・・・・」

絶望の巨獣―暴走神レヴァイアサン― 闇属性 ☆12 獣族:効果
ATK??? DEF???
このカードは通常召喚できない。自分の場に出ている魔法、罠カード5枚を墓地に送り特殊召喚する。
このカードは魔法、罠、モンスターの効果で破壊されず、コントロールも変更できない。
このカードが魔法、罠、モンスターの効果を受けたとき、エンドフェイズにその効果を無効化する。
また、このカードが墓地から特殊召喚されたとき、召喚ターンは攻撃できず、エンドフェイズに墓地に送られる。
このカードが特殊召喚されたとき、自分の場に出ているすべてのモンスターを破壊し、自分は新たにモンスターを召喚、反転召喚、特殊召喚できない。
このカードの攻撃力と守備力は自分の墓地にある魔法、罠カードの数×500ポイントとなる。
このカードはすべての相手モンスターに1回ずつ攻撃できる。

絶望の巨獣―暴走神レヴァイアサン―攻撃力12000守備力12000

なにやら喋っている烏哭の声も俺には馬耳東風だった・・・
体が震える・・・・思考が、定まらない・・・・
駄目だ・・・・負ける・・・・・!
思考が絶望しか答えを出せない・・・・・!
死・・・・・
「これで貴様の持つ過去の女神ウルドは私のものだな!」
!奴の言葉を聴いたとき、俺の体の震えが止まった・・・・
・・・・・だっせぇ・・・・・
俺はゆっくりと息を吐き出す。
何がだせぇって・・・・
そして、その獣を見据える。
まだ終わってねえのに諦めてる自分が・・・・
そして、こぶしを握る。
最高にだっせぇ・・・・
「きやがれ烏哭!俺はまだ負けてねぇ!たとえ神が相手だろうが、俺は絶対に負けねぇんだよ!」
もう、体の振るえと、心の震えは、止まっていた。

あとがき
ツキ「というわけで神降臨でした」
ヒール「とりあえず、つっこみ所が山ほどある」
ツキ「なんですか?」
ヒール「なんであいつの神はあんなに強いんだ!明らかにウルドよりも強ぇじゃねぇか!」
ツキ「く、苦しいです。首を絞めないで・・・」
ヒール「差別だ!横暴だ!」
ツキ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヒール「ん?どうした?まさかこのくらいで昇天なんて言うんじゃないだろうな?」
ツキ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヒール「嘘だろ・・・・?」
必死になり心臓マッサージをするヒール、そして作者の意識が回復した。
ツキ「死ぬかと思いました・・・」
ヒール「てゆーか実際死んでたけどな・・・」
ツキ「神の強さについてはちゃんとした理由があるのでご安心を・・・・」
ヒール「そうか、それともうひとつ。神に罠は効かないんじゃないのか?」
ツキ「何をおっしゃる、ちゃんと効いてるじゃありませんか」
ヒール「何?」
ツキ「原作のラスト決闘の相打ちしかり、人形戦の呪縛叱り、永続効果のあるものは罠も効いているじゃないですか」
ヒール「それって作者のミ・・・・」
ドスッ!(作者の手刀がヒールの肺付近に突き刺さった音)
ヒール「ぐわぁ・・・・・ッ!」
ツキ「余計なことは言わないほうが身のためですよ」
Date: 2004/06/04


ACT53:一点突破!
月鬼衆首領、烏哭のデッキはなんとドローデッキだった。
彼のその絶対的な防御力にヒールは攻め込むことができないでいた。

ヒールLP5400手札3枚
烏哭LP9800手札0枚

クソ、奴の防御が突破できねぇ、場の状況は現在俺の場には攻撃表示のデュナミスヴァルキュリア、そして伏せカードが1枚、
奴の場には同じく攻撃表示のアポピスの化身が1体、そして伏せカードが2枚。
ライフアドバンテージが大きくとられてしまっているな。
だが俺は負けない、絶対のその絶対領域とやらを突破してやるぜ。
「俺はこれでターンエンドだ」
とにかく、今の俺にできることは奴の絶対防御を破るカードが来るのを待つだけだ。
「私のターンに入る前にリバースカードの1枚を発動させよう、終わりなき欲望発動」
奴のリバースカードの1枚が翻り持ち主の欲望をかなえるためのカードが現れた。
もっとも、その欲望をかなえるためにはそれ相応の代価を支払わなければならないが・・・・

終わりなき欲望:永続罠
このターンの自分のバトルフェイズをスキップする代わりに自分はカードを2枚ドローできる

「それでは私のターンだな、ドロー。さらに終わりなき欲望の効果で2枚ドロー。アポピスの化身を守備表示にしリバースカードを2枚セットする。ターンエンドだ」
再び現れたリバースカード、うぜぇな・・・・・
「俺のターン!ドロー!」
気合と共にカードを引く、引いたカードは大嵐だったが果たして奴に通用するのだろうか・・・?
奴の顔を見る、そこに写ったのは自信に満ちた奴の顔、
無理だな、今の状態じゃ奴にこのカードは通用しない、今は機を待つしかない。
「俺はデュナミスヴァルキュリアを守備表示に変更し、さらにモンスターをセットする。ターンエンドだ」
「私のターンだな、ドロー。さらに終わりなき欲望の効果で2ドロー。カードを1枚セットしてターンエンド」
これで奴の魔法、罠ゾーンは5枚すべて埋まった。
とりあえず、これ以上奴のリバースカードが増えることは無いだろう。
「俺のターンだ、ドロー」
カードをドローしスタンバイフェイズに入ろうとしたとき、奴のリバースカードが翻った。
「貴様のスタンバイフェイズに私は絶対不可侵領域を発動させる。これで貴様はこのターン、モンスターを場に出すことはできん」
俺の場が紫色の禍々しいオーラに包まれた。そのオーラのおかげで俺はこのターン、モンスターを場に出すことができない。
「俺はカードを1枚セットして、ターンエンドだ」
モンスターを召喚できなければ俺にも手はない、だが次のターン、奴の絶対防御を突破してやる。
「私のターン、ドロー。さらに2ドロー」
くそ、終わりなき欲望の効果で奴の手札が爆発的に増えていきやがる・・・・
「カードを1枚セットし、ターンエンド」
「俺のターン!ドロー!」
間髪いれずにカードをドローする。いくぜ!
「俺は守備モンスターを反転召喚する!出てこい聖水の天使フェルエル!」
俺の場に現れたのは、青い瞳と髪を持つ、やわらかい印象を持つ少女天使だった。
「さらに!フェルエルの効果で俺のライフが1500ポイント回復する!」
「なに!?」
フェルエルの体が輝きだし、その輝きが俺へと降りかかる。

ヒールLP5400→6900手札3枚
烏哭LP9800手札5枚

「フェルエルはな、リバースしたときに場に出ているモンスター1体につき、俺のライフを500ポイント回復してくれるのさ」

聖水の天使フェルエル 水属性 ☆3 天使族:効果
ATK800 DEF1200
このカードは1ターンに1度、裏側守備表示にすることができる。このカードがリバースしたとき、すべてに場に出ているモンスター1体につき、自分は500ライフポイントを得る。

「そして俺はフェルエルを生贄にささげ、雷帝ザボルグを召喚する!」
俺の場に、雷を操る鬼人のような男が現れた。
ザボルグの体が光を発し、それが稲妻の矢となって人蛇一体のモンスターを貫いた。
化身は苦しげな雄たけびを挙げながら消えていった。
「む!?」
「いくぞ!ザボルグとヴァルキュリアで攻撃!」
俺の言葉と共に2体のモンスターが烏哭へと向かっていった。
そして当然のように奴のリバースが翻る。
「リバースカードオープン!聖なるバリア―ミラーフォース―!」
モンスターたちの前に、すべての攻撃を跳ね返す光の壁が現れた。
だが恐れることは無い、すでに対抗策は用意してある!
「カウンター罠発動!トラップ・ジャマー!」
「むぅ!?」
罠破壊の呪印が光の壁を砕いた。
奴への道が開いた!今だ!
「いっくぜー!2体のモンスターで改めてダイレクトアタック!」
「言ったはずだぞ、貴様では、私の絶対の領域を侵すことなどできはしないと!」
奴の更なるリバースが翻った!
「罠カード発動!重力解除!」
場の重力が開放されていく、だが!
「甘いんだよ!手札から封印の天使シルエルを捨てて、重力解除の効果を無効化させる!」
「な!?」
こんどこそ、奴の顔に驚愕の表情が出た。
つまりそれは、もう奴の俺の攻撃を防ぐ手立てが無いことをさしている!この攻撃は通った!
だが奴はそう甘くは無かった。
突然、俺のモンスターたちの前に巨大な半液体状の何かが現れた。これは・・・・・・
「残念だったな。私の最後のリバースカード、それはこのメタル・リフレクト・スライムだ。守備力3000の壁はそう簡単には抜かせない」
「・・・・・ターンエンドだ」
打つ手なし、か・・・・・
このターン、何とか奴のリバースは削ったがすぐにまたセットされてしまう。
唯一の希望は奴は終わりなき欲望の効果でデッキの消費が激しくなっている。
このまま耐えて奴のデッキ切れを待つか?いや、奴のことだ、その辺の対応策もちゃんと考えているのだろう。
現世と冥界の逆転とか・・・・・

封印の天使シルエル 地属性 ☆1 天使族:効果
ATK300 DEF200
相手が発動した罠、魔法カードの効果をこのカードを手札から捨てることで無効化できる。

「私のターンだな、ドロー。さらに2ドロー、カードを3枚セットしてターンエンドだ」
新たに増えた3枚のリバースカード、クソッ、奴がこんなにも遠く感じるとはな・・・
「俺のターンだ!ドロー!」
引いたカードは強欲な壷、すかさず使用しカードを2枚ドローする。その中の1枚に天使の施しがあった。当然使用、カードを3枚ドローする。
引いたカードはそれぞれ創造の代行者 ビューナス、力の天使ゼルエル、そして最後にカードをドローする。
引いたカードは盗賊の七つ道具、罠破壊の罠カード・・・・・
よし、なんてタイミングでこんなカードを引きやがるんだ俺は、
今このときほど、俺は自分の引き運を感謝したことは無い。
とりあえず俺は施しのコストで創造の代行者 ビューナスと2枚目のシャインエンジェルを捨てた。
「俺はカードを1枚セットして、ターンエンドだ」
「そうか、ならばこのの瞬間、伏せていた罠カード、自業自得を発動させる」
「ぐぅ・・・・ッ!」
痛みが俺の体を駆け抜ける。自業自得、相手の場に出ているモンスター1枚につき、500ポイントのダメージを与えるバーンカード、だが烏哭、お前はそのカードの使いどころを間違えたぜ、
そいつはプレイングミスだ。そしてそのミスは、命取りになるほどのものだということを教えてやる。

ヒールLP6900→5900手札3枚
烏哭LP9800手札5枚

「俺のターン!ドロー!」
引いたカードを確認する。ピースはそろった。あとは実行に移すのみ。
「いくぜ!手札から魔法カード、死者蘇生を発動させる!対象は創造の代行者 ビューナス!」
俺に場に創造をつかさどる天使が現れた。
「ビューナスの効果を発動!1000ポイントのライフを支払い、デッキから神聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)を2体特殊召喚するぜ!」
ビューナスの体が輝きだし光が2つに分かれる。
光はやがて球体を作りそれぞれが意思を持つかのように動き回った。
「そんな雑魚モンスターを並べたところで、私のこの絶対領域を破ることはできないぞ」
そいつは、どうかな!
「俺はリバースカード、ソーラーレイを発動させるぜ!」
「なに!?」
烏哭の目が驚愕に見開かれる。俺の場のモンスターたちが輝きだし、光の柱を放出させる。
柱はやがて方向を変え、雨のように烏哭へと降り注ぐ!
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!」
烏哭の絶叫が聞こえる、だがこれで終わりにするつもりは無い!
「一気にいくぜ!手札から魔法カード、大嵐発動!」
お互いの魔法、罠ゾーンを大嵐が蹂躙していくその刹那、奴は予想通りリバースカードを発動させた。
「そうはさせん!リバースカードオープン!アヌビスの裁き!」
予想通りに発動させた魔法防御最上級の罠カード、だがそんなもの、何の意味も無い
「させるかよ!カウンター罠カード発動!盗賊の七つ道具!」
発動するアンチ罠カード、盗賊たちの手によって烏哭が発動した罠は解除させてしまった。
「ぐぉぉぉぉぉぉ!」
蹂躙が終わった後、烏哭の場には何も残っていなかった。
「いくぜ、神聖なる球体2体を生贄にささげ、力の天使ゼルエル召喚!」
俺の場に現れたのは、烈火のような赤い髪と赤い瞳を持ち、3対の翼をはためかせた男の大天使だった。
その手には一振りの長剣を握っていた。
「覚悟しな!すべてのモンスターでダイレクトアタック!」
俺の命に従い、俺のモンスターたちが烏哭へと向かっていった。
だが奴はまだ隠しだまを持っていた。
「この瞬間、墓地に存在する死霊の牢獄を除外し、このターンの攻撃を封じようか」
「な!?」
突如、俺のモンスターたちは地面から湧き出てきた黒い霧にとらわれて身動きが取れなくなってしまった。
「死霊の牢獄はな、墓地にある状態でゲームから除外した場合、除外したターンのみ、相手の攻撃を封じるのだ。残念だったな」
だが俺は不敵な笑みで返した。
残念なのは、お前だよ。
「俺の場をよく見てみろよ」
「なに?こ、これは!?」
見るとゼルエルがその黒い霧を断ち切り、烏哭へと斬りかかっていた。
「馬鹿な!なぜ?」
「ゼルエルに魔法なんざきかねぇんだよ!」
さらにゼルエルは自分から攻撃を仕掛けるときはその力を一時的にあげることができる。
ゼルエルの一撃が、完全に烏哭を捕らえた。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」

力の天使ゼルエル 炎属性 ☆8 天使族:効果
ATK2700 DEF2600
このカードは相手からの魔法カードの効果を受けない。
このカードは自分のバトルフェイズ中、攻撃力が800ポイントアップする。

死霊の牢獄:通常魔法
墓地のこのカードをゲームから除外することで、相手モンスターはこのターン、攻撃できない。

ヒールLP5900→3900手札1枚
烏哭LP9800→3300手札5枚

「お前の盾は砕けたぜ!」
倒れ伏す烏哭にむかって、俺は言い放った。


あとがき
ツキ「はい終了」
ヒール「よっしゃぁ!やっとあのうっとおしいカードたちを潜り抜けられたぜ!」
ツキ「見事なものですねぇ」
ヒール「このまま一気にいってやるぜ!」
ツキ「まだまだ油断は禁物ですよ、次回には烏哭の切り札を登場させるつもりですから」
ヒール「まじかよ、もういいじゃん、俺の勝ちで」
ツキ「それではつまらないですよ、物語的に(何より僕的に)」
ヒール「お前今よからぬこと考えてないか?」
ツキ「(ギク)そんなことありませんよ。さあ今日はここまでにしましょう」
ヒール「怪しい・・・・」
ツキ「人を疑うのはよくありませんよ(ポーカーフェイス)」
Date: 2004/06/02


ACT52:絶対領域
ついにここまでやってきた・・・・・
月鬼衆の首領、烏哭、こいつの実力はまだわからない。
だが俺は絶対に負けない、大切なものを取り戻す、その日までは・・・・

ヒールLP8000手札5枚
烏哭LP8000手札5枚

「私の先行だな、ドロー。カードを2枚セットして、ターンエンドだ」
「何?」
モンスターを出さない?単に手札事故でモンスターが手札に無いのか?それとも俺の攻撃を誘っているのか・・・・
「俺のターン、ドロー」
引いたカードを手札に加え、俺は少し考える。
もしも本当にて札事故なら今がチャンスだ。
今のうちに攻め込んで勝負を決めてやる。
「俺はシャインエンジェルを召喚するぜ!」
俺の場に白い翼を織り成した天使が現れる。
だがこの瞬間に奴はリバースカードを発動して来た。
「リバースカードオープン、落とし穴。これでその天使は破壊だ」
何処からとも無く矢が飛んできてシャインエンジェルの羽根を射抜く。
飛ぶ力を失ったシャインエンジェルはそのまま落とし穴へと真っ逆さまに落ちていった。
「クッ!やってくれたな。俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ」
「この瞬間、リバースカードオープン、速攻魔法、サイクロン!」
「な!?」
一陣の風が俺のリバースカード、サンダーブレイクを吹き飛ばしていく。
まずい、完全に不意をつかれた。俺の場ががら空きになっちまった。
「私のターンだな、ドロー」
ダイレクト覚悟で俺は身構えた。
「私はカードを2枚セットし、ターンエンドだ」
「何?」
また?おかしい・・・いくら手札事故だからといっても、もうモンスターが来てもいいはず、初手でモンスターが無かったのならなおさらモンスターが来る確率は高いはず、それなのにまたカードをセットしただけ?
まさか・・・・・
「俺は大天使の従者を召喚するぜ!」
俺の場に大天使に使える誇り高い騎士が現れた。

大天使の従者 光属性 ☆4 戦士族:効果
ATK1800 DEF1600
自分のスタンバイフェイズにこのカードを生贄にささげる。
デッキから天使族モンスターを1体特殊召喚してもよい。
このカードの効果で特殊召喚されたモンスターは、このターン攻撃できない。

「攻撃!」
俺の声にこたえて、大天使の従者が白銀に輝く剣を抜き放つ、
剣を構え、烏哭へと斬りかかる、だがここで当然のように奴のリバースが翻った。
「攻撃は通さん、リバースカードオープン、ホーリーライフバリアー発動、このターン、貴様は私にダメージを与えることはできん」
烏哭の体を薄青いヴェールが包み込む、そのヴェールに阻まれて、大天使の従者の攻撃は烏哭には届かなかった。
「ぐわ!?」
突如、俺の体に激痛が走った。
なんだ?なにがおこった?
「ホーリーライフバリアーの発動コストとして、私は手札からこのカードを捨てたのだ」
そう言って奴は墓地の一番上のカードを俺に見せてきた。
そのカードには殺人ウィルスヴェノムと書かれていた。

殺人ウィルスヴェノム:通常魔法
カードの効果でこのカードが手札から墓地に送られたとき、相手プレイヤーに1000ポイントのダメージを与える。

ヒールLP8000→7000手札4枚
烏哭LP8000手札2枚

「クソッ!ターンエンド!」
落ち着け、心を乱されるな。それこそあいつの思う壺だ。
「私のターンだな、ドロー」
ん?今引いたカードを見て奴の表情が変わったな、何かいいカードでも引いたのか?
「まずはその目障りな騎士を排除させてもらおう。手札から魔法カード、地砕きを発動させる。対象はもちろん、大天使の従者だ」
奴が魔法カードを発動した途端、大天使の従者の足元が砕け、従者は奈落の底へと落ちていった。
これで再び俺の場はがら空きになった。
奴のデッキが俺の予想通りとすればあのリバースカードはおそらく・・・
「リバースカードオープン、アポピスの化身、いでよ化身よ」
やはり・・・・奴の場に蛇と人を融合したような気味の悪いモンスターが現れた。
リバースカードばかりのカウンター戦法、召喚されないモンスター、そして罠モンスター、間違いない。奴のデッキは・・・・
「ドローゴーデッキ・・・・」
「その通り、ようやく気づいたか」
ドローゴーデッキ、デッキにモンスターをほとんど入れず、罠や魔法で相手の攻撃を防ぐカウンター戦術を得意とし主に防御力の高さに定評があるデッキだ。
「だが、気づいたとしてももうどうしようも無いな、アポピスの化身でダイレクトアタック」
人蛇一体のモンスターが手にした剣で俺に斬りつけてきた。
「ぐぅ・・・・ッ!」
襲い来る痛みを歯を食いしばって耐える。
「さらにカードを2枚セットして、ターンエンドだ」
クソ、こいつのデッキはドローゴーデッキ、依然戦ったことのある紫丸って奴と同じタイプのデッキのはず、だが完成度はこいつのデッキのほうが数段上だ。
こいつは攻略に骨が折れそうだぜ。
「俺のターンだな、ドロー!」
さてどうするか・・・・・一応、今奴の手札はゼロだからこのまま奴のリバースを削っていけばいつかはむこうは息切れするはず、そこに付け込めればいいんだが・・・・
「リバースカードを1枚セット」
考えていてもしょうがない、とにかく今は、あいつの場が切れるのを待つしかない。
おそらく、そう遠くないうちにあいつのリバースカードは尽きるはずだ。
「さらにデュナミスヴァルキュリア召喚!アポピスの化身に攻撃!」
純白の翼を持つ戦乙女が手にした槍で醜悪は蛇の怪物を貫く!
そう思った瞬間、奴はヴァルキュリアの攻撃をその盾で受け止めていた。
「馬鹿な!攻撃力は俺のヴァルキュリアのほうが上のはずだ!」
見るとヴァルキュリアの攻撃を受け止めている奴の盾が淡い光を放っていた。
「こ、これは・・・!?」
「何も驚くことは無い、ただ、セットしてあったこのドレインシールドを発動したに過ぎん」
まずい、奴の発動したカードのせいでライフアドバンテージを大きくとられてしまった。

ヒールLP7000→5400手札3枚
烏哭LP8000→9800手札0枚

「貴様程度の腕では私のこの絶対の領域を侵すことなどできん」
奴までの距離が、ひどく遠く感じだ。


あとがき
ツキ「というわけで首領のデッキはドローゴーデッキでした」
ヒール「俺ドローゴー嫌いなんだよ。守ってばっかで攻撃してこねぇし」
ツキ「まあ実際あまり使われてませんけどね」
ヒール「くそ、ガードが固いぜ」
ツキ「焦らず、じっくりといくものですよ。というわけで今日はこの辺で、さようなら〜」
Date: 2004/06/01


ACT51:エルフの聖女
戒淵が召喚した彼の切り札、ガーディアン・ヴェルハルトの登場によりリディアの負けが決定的になろうとした刹那、彼女は翻弄するエルフの剣士でその攻撃を凌いだ。
このまま彼女に流れが来るのだろうか・・・・

リディアLP5100手札4枚
戒淵LP7800手札0枚

場の状況は現在、リディアの場には守備表示の翻弄するエルフの剣士のみ、戒淵の場には攻撃表示のガーディアン・グラールと同じく攻撃表示で沈黙の大鎌―ヴェルハルトを装備したガーディアン・ヴェルハルト、そして静寂のロッド―ケーストと重力の斧―グラールを装備したアームズスフィアが存在していた。
場の状況はリディアの防戦一方だった。

沈黙の大鎌―ヴェルハルト:装備魔法
装備モンスターの攻撃力を700ポイントアップする。また、このカードが場に出ている限り、相手プレイヤーは1ターンに1枚しか魔法カードを使用できない

アームズスフィア 闇属性 ☆4 魔法使い族:効果
ATK0 DEF2200
自分のドローフェイズに、カードをドローする代わりにデッキから装備魔法カードを1枚、手札に加えることを選んでもよい。
このカードが戦闘で破壊された場合、代わりにこのカードに装備されている装備魔法カードを1枚破壊してもよい。

ガーディアン・ヴェルハルト 闇属性 ☆8 悪魔族:効果
ATK??? DEF???
このカードは自分の場に沈黙の大鎌―ヴェルハルトが存在しなければ召喚、反転召喚、特殊召喚できない。
このカードが召喚、反転召喚、特殊召喚に成功したとき、自分の場モンスターを好きなだけ生贄にささげる。
生贄にささげたモンスターのもともとの総攻撃力と総守備力が、このカードの攻撃力と守備力になる。
このカードが戦闘で破壊した相手モンスターの効果を無効化する。

「我はこれでターンエンドだ」
「私のターン!ドロー!」
リディアはカードを引き、再びそのままエンドした。
一体彼女は何を考えているのだろうか・・・・・
(これで私の手札は5枚、これで条件はほぼそろった。だからお願い、もう少しだけ耐えて、エルフの剣士・・・・)
「我のターンだな、ここで我はアームズスフィアの効果を発動し、デッキから・・・」
戒淵の顔に笑みが浮かぶ。そして1枚の装備カードを手札へと導いた。
「メテオストライクを手札に加えよう」
「な!?」
驚愕のリディアの声、驚くのも無理は無い、メテオストライクは貫通能力を付加する装備魔法カード、このカードの効果によりリディアは翻弄するエルフの剣士で凌ぎ続けることができなくなってしまったのだ。
「そしてメテオストライクをガーディアン・ヴェルハルトに装備させる」
「・・・・・・ッ!」
「いくぞ、ガーディアン・ヴェルハルトで翻弄するエルフの剣士に攻撃」
主による攻撃命令、死神は鎌を横に構え、一瞬の間のあと彼の腕が消失する。
否、正確にはあまりの高速移動に見えないのだ。
そしてその攻撃はまったくの無音だった。どれほどの早さだろう、腕が視認できなくなるばかりか音すら聞き取ることができないとは・・・・・
「サイレントワルツ」
まさにそれは死の舞踏、絶対的な死がエルフの剣士へと襲い掛かる。
切り裂かれる剣士、だがその体がかすんでいた。
残像、彼はその無音の高速攻撃をかわしていたのだ。
気づけばエルフの剣士は持ち前の翻弄能力ですでに別の場所へと移動していた。
もっとも、貫通能力を持っている攻撃だったので超過ダメージ2100ポイントはしっかりと受けていたが。
「くぅ・・・・・ッ!」
苦痛に耐えるリディア、しかしその瞳に宿った闘志の炎はいまだ消えていない。

リディアLP5100→3000手札5枚
戒淵LP7800手札0枚

「我はこれでターンエンドだ」
「私のターン!ドロー!」
引いたカードを見てリディアの顔色が変わる。
「(来た!)私は手札から等価交換を発動させる!」
「む!?」
戒淵の場に沈黙の大鎌―ヴェルハルトが出ている限りリディアは1ターンに1枚しか魔法カードを使用できない。
その1回限りのチャンスにリディアが繰り出したカード、その効果とは一体なん何だろうか・・・?
「等価交換の効果であなたは手札が5枚になるようにカードをドローできるわ」
「何?」
怪訝そうな声を上げる戒淵。だがそれも当然だろう。
せっかくの1回限りのチャンスを相手の手札を増やすことに使うのだから・・・・
「貴公、たった1度のチャンスをなぜ、このようなカードで潰す?勝負をあきらめたのか?
「冗談、そんなわけ無いでしょう?私のフィールドを見てみなさいよ」
いわれてリディアの場を見る戒淵、そしてその顔に驚愕の色が現れた。
「むぅ、これは!?」
なんと、リディアの場に4つの光の球が浮いているのだ。
「等価交換はね、相手が引いたカードの数だけ、私の場にスピリットトークンを特殊召喚できるのよ」

等価交換:通常魔法
相手は手札が5枚になるようにカードをドローする。
自分は相手がドローしたカードの数だけ自分の場にスピリットトークン(ATK500/DEF500・光属性・☆2・天使族)を特殊召喚できる。
自分の場に出ているスピリットトークンを1体生贄に捧げるごとに、自分は1000ライフポイントを得る。

「私の場に翻弄するエルフの剣士がいたから4体までしか特殊召喚できなかったけど、これで十分だわ、私はスピリットトークンを1体生贄に捧げて1000ライフポイントを得るわ」
光の球のひとつが光の帯となってリディアに降り注ぐ。
そしてリディアの体の傷が再生していく。

リディアLP3000→4000手札5枚
戒淵LP7800手札5枚

「いくわよ!私はエルフの聖女ラピスを召喚!」
リディアの場に、金色のローブに身を包み、金の瞳と髪をしたエルフの少女が現れた。
「な・・・んと・・・・・美しい・・・・」
思わず戒淵の口から賞賛の言葉が漏れる。
敵ですらも賞賛させるほどの美貌と神秘性を、この少女は兼ね備えていたのだ。まさに聖女と呼ぶにふさわしい。
少女はその長い髪をなびかせて静かにたたずんでいた。
その攻撃力、実に6000
「な!?攻撃力、6000だと!?」
「これが私の切り札、そして、お父さんが私に残してくれたカード・・・・エルフの聖女ラピスはすべてのプレイヤーの手札と場に出ているカード、モンスターの数だけ攻撃力を300ポイント得るのよ」

エルフの聖女ラピス 光属性 ☆4 天使族:効果
ATK??? DEF???
このカードが墓地から特殊召喚できない。
このカードの攻撃力と守備力はすべてのプレイヤーの手札とフィールドに存在するカード、モンスターの数×300ポイントとなる。

エルフの聖女ラピス攻撃力6000守備力6000

「戒淵さん、ガーディアンデッキの宿命的弱点を教えてあげる」
「なに?」
「それは場に装備カードを並べなくては召喚できないこと、そのせいであなたの魔法・罠ゾーンは装備カードで埋め尽くされてリバースカードがセットできないのよ」
その通りであった。ガーディアンデッキは宿命的弱点をどうあっても克服できない。武器精霊を従えることとそのことが重なり、使用者が極端に少ないのだ。
「・・・・・・」
図星だったのか、戒淵は沈黙したままだった。
「いくわよ!エルフの聖女ラピスでガーディアン・ヴェルハルトに攻撃!極光の奔流―レイ・カスケード!」
エルフの聖女が片手を前へと掲げる。
その片手を中心とし、彼女の体の回りに光が満ちてきた。
そしてそれが放たれたとき、光が巨大な激流となってガーディアン・ヴェルハルトへと迫る。
ヴェルハルトはその光の奔流に飲み込まれ、跡形もなくなってしまった。

リディアLP4000手札4枚
戒淵LP7800→5100手札5枚

「・・・・・見事」
驚嘆と賛辞が入り混じった戒淵の声、そして彼はデッキの上に手を置いた。サレンダーだ。
「我の負けだ。見事なりリディア=ハーティよ、この勝負、貴公の勝利だ。先へと進むがいい」
「はい、ありがとうございます。戒淵さん」
ぺこりと戒淵に一礼してリディアは先へと進んでいった。

鬼神殿の決戦第4戦勝者―リディア



長い通路を俺はただひたすらに進んでいった。
しばらくして目の前に巨大な扉が現れた。
扉越しでも感じる、ものすごい闘気だ。中にいるのは化け物だな、こりゃ。
「おもしれぇ、どの道ここに入らねぇと先へは進めないんだからな」
俺はその重たい扉を押し開け、中へと入っていった。


「ようこそ、ヒール=ナイツよ私の名は烏哭(うこく)月鬼衆の長である」
俺を出迎えた声は重々しい威圧感を発する声だった。
見るとそこに立っていたのはジパング特有の黒髪と黒い瞳を持った男、着ている服は、確か法衣とか呼ばれるジパングの神官服のようなものだと思う。そんなものを着ているとは、こいつ何者だ?
「まさかここまでたどり着くとはな、さすがは神の所有者といったところか・・・・さて、ヒールよ、単刀直入に言おう、貴様の所有する神のカード、過去の女神ウルドを渡せ。そうすれば、このまま無事に帰してやろう」
野郎はあろうことかそんな世迷いごとをほざいてきやがった。
なめやがって・・・・
「そいつは俺の台詞だな。お前のほうこそ、現在の女神ヴェルダンディを渡しな。そうすれば、まあとりあえず命だけは助けてやるよ」
俺の言葉に烏哭と名乗った男はただ鼻で笑っただけだった。
・・・・・殺すか?
「愚かだな。素直に渡せば助かったものを。こうなれば、実力行使も仕方ないな」
そう言って烏哭はデッキを構えた。
俺もそれに習ってデッキを構える。
「はじめからそうしてれば良かったんだよ、そうしたほうが余計な手間が省ける」
一呼吸の間・・・・・・
『決闘!』
木霊する二人の声が、やけに耳に響いた。


あとがき
ツキ「やっとこさここまで漕ぎ着けました」
ヒール「おーしやっと俺の出番だな」
ツキ「相手は手ごわいですよ?」
ヒール「そんなことは百も承知、だが俺は絶対に負けん」
ツキ「頼もしいですねぇ」
ヒール「何しろもう2ヶ月以上決闘をしてないからな。どっかの馬鹿作者のせいで」
ツキ「う・・・」
ヒール「つーわけだから期待しておいてくれよ」
Date: 2004/05/30


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