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願い事

                                       取り戻すと誓った、たとえ、すべてを投げうっても・・・・・・
相互リンク
タイトル 作者 感想
>決☆闘☆王〜JUST DUEL〜 ひな様 ひな様の書いてらっしゃる小説です。ユニークなキャラやオリカが多く、また、鬼などの人外の存在なども多く登場するので楽しめる物語です。まだ始まったばかりなのでぜひ呼んでみてください。
>Nothing Venture.Nothing gain ファラオ様 ファラオ様の2作目です。王道ラブコメ要素とシリアスな場面の使いこなしがすばらしく、読んでいてどんどん引き込まれます。まだ始まったばかりなので読むなら今です。
>Cursed Doom 青眼様 青眼様の2作目の短編小説です。まだ始まったばかりなのですが今回はモンスターが実体化するようなので今後の展開にかなり期待できます。
>遊戯戦闘記〜時空物語〜 のばら様 文章の組み立てがすばらしく、カードの効果の表現方法もうまく、とても読みやすいです。また、決闘の展開や、その間に入る物語などもこっており、決闘とは別に、魔法などの設定もあるので決闘以外の部分も楽しめます。必見です。
>Again and Again GENMA様 GENMA様の2作目です。これもマガジンで人気連載中のエアギアをベースにした物語で、かつて無敗のリーダーだった主人公が、再び頂点を目指す様を描いた物語で個人的にかなりお気に入りです。
>Dream World カズト様 事故にあったことが原因で不思議な世界へと流れ着いてしまった主人公の七草 リュウカは、同じくこの世界に流れ着いていた兄を探すたびに出る。このサイトでかなりの人気を誇る小説です。現在100話を超えている大作です。ぜひ一度読んでみてください。
>精霊戦争 新装版 prism様 ここのサイトの小説の中で個人的に一番好きな小説です。精霊という特殊なカードが多数登場し、小説内での人間ドラマや王道のラブコメ要素も入っているのでお勧めの一品です。ここのサイトに来たからには一度は読むべきだと強く勧めます。
>魔法伝説〜Magical Legend〜 完全版 GENMA様 マガジンで人気連載中のネギまをベースとした小説で、ストーリー、決闘共にかなり充実しています。また、女キャラが他に類を見ないくらい多く、結構新鮮な感じがします。読んでみて損は絶対にありません。
>真世界を握るカード 青眼様 新たに改装された世界を握るカードです。以前と違い、始めから登場するキャラが多く、展開も違ったものになっています。そして何より最大の違いは主人公がふたりいることでしょう。まだ始まったばかりなので旧版を読んでなかった人も呼んでみることをお勧めします。
天津五柱神 yamato様 ゲームの世界に閉じ込められてしまった20人の生徒たち、彼らが生きて帰ることを目標に冒険していく様が面白おかしく描かれています。また、共鳴やライフ変動などに独自のルールが練りこまれており、かなり考えられていることが伺われます。見て損はありません。
遊戯王小説大賞2004

ACT19:来訪者 2004/03/27
ACT18:その手を、離さずに・・・・・・ 2004/03/25
ACT17:天使の洗礼 2004/03/24
ACT16:鋼鉄の猛攻 2004/03/24
ACT15:敵地突入 2004/03/23
ACT14:森の中で 2004/03/22
ACT13:逃亡 2004/03/21
ACT12:様子見 2004/03/18
ACT11:廃墟の神殿で 2004/03/16
ACT10:武器屋にて 2004/03/15


ACT19:来訪者
ヒールたちは旅の新たな仲間、リディアを向かえ、運命の三女神の残り二人の情報を得るために工業都市ヴァルセアへとたどり着いた。ここは様々な国の人間が貿易などの目的で集まっている都市なので集まる情報の量も多いのだった。


というわけで俺達はヴァルセアへとやってきたのだが、ここに来て重大な問題に直面していた。
旅費が尽きかけていたのだ。一応、この街にいる間くらいの金はあるのだが、ここいらでひと稼ぎしなくては今後の生活も危うい。
だからジンとリディアが買い出しに行っている間に俺は一人、傭兵の仕事を探している。
この時代、手っ取り早く金を稼ぎたいのならば傭兵の仕事を見つけることだ。傭兵とは、依頼人からの依頼を受けて仕事をこなす職業、といっても特別に資格が必要なわけではない。腕に覚えのある奴が個人的に依頼を受けるだけだ。依頼内容は様々で護衛からペット探しまで何でもござれ、ようするに何でも屋だ。だがうまくいけば当分の旅費には困らないだろう。
というわけで仕事を探しているのだが、なかなか見つからないな・・・・・・・
「ん?」
ふと背後に視線を感じる。
「・・・・・・・・・・」
ここじゃこの間のゴウキのような事態になりかねないな。場所を変えるか。
俺は人通りの少ない裏路地へと入っていった。背後から誰かがつけてくる気配が感じられる。
やがて行き止まりにたどり着き、俺は後ろを振り向く。
「出て来いよ、わざわざ人通りの少ないところまで来てやったんだ。遠慮することないぜ」
「気づいていたか、さすがだな・・・・・・」
一人の男が出てきた。輝くような金髪と澄み切った青い瞳が印象的な男だ。見覚えがある。こいつは・・・・・・
「ケルヴィン?」
「よく、わかったな」
俺の呟きを聞き、ケルヴィンが答えを返す。なんてこった。こんなところでこんな奴と出会うなんて。
ケルヴィン=フィニー。神官達を束ねる大神官のひとりで実力は神官長のクリア=リーゼに継ぐ実力者だ。ちなみにウィンリィの恋人だ。何故こんなところに・・・・・?
「へぇ、お前を追手によこすなんて、元老会の爺どももずいぶんと俺のこと過大評価してるんだな」
元老会ってのは大神官が現役を引退し、一線を退いた爺どもの集まりだ。要するに隠居って奴だ。だが隠居生活に甘んじるようならば元老会などというものを作るわけがない。実際には元老会の発言力は高く、現役の神官達にも命令するほどだ。
「勘違いするな。俺はお前を殺しに来たのではない」
胸に直接響くかのような力強く、まっすぐな声。女性神官の間でファンが多いという噂を聴いたことがあるが今なら納得できるな。
「じゃあ、何しに来たんだよ。お前神殿からの追手じゃないのか?」
「確かに、元老会の老人どもはお前のことを危険視し、抹殺命令を出しているが実際にそれを聞いている神官などいない」
「なぜ?」
聞くととたんにケルヴィンの顔が嫌悪に歪む。
「あんな権力欲にまみれた奴らの命令を聞くほど俺たち神官は堕ちてはいない」
なるほど、元老会の爺どもが考えていることは己の保身と権力欲のみ、いわばクズ人間の集まりだ。そんな奴らのいうことを聞くような奴は一人たりともいないということか。
「だったらなおさらだな、何故お前はこんなところにきているんだ?」
「クリア様は、お前が神を盗んだことは咎めないとおっしゃっている。結果論でしかないが、お前が神を奪わなかったら、月鬼衆の奴らに奪われ、取り返しのつかないことになっていただろうからな」
なるほど、それで今まで神殿からの追手が現れなかったのか。
「だが、お前が神を持っている限り、奴らはお前を狙い続けるだろう。だから、クリア様は俺をお前たちに同行するように命令されたのだ」
・・・・・・・・何か引っかかる、確かにクリアは話のわかる奴だし、こういう行動に出てもおかしくないのかもしれない。
だが何かが引っかかる。
「なるほど、つまりお前は、俺たちに協力しに来たってこと?」
「そういうことになるな」
「じゃあさぁ・・・・・・」
俺はカマをかけてみることにした。
「なんで、殺気立ってるの?」
実際は殺気など微塵も感じていない。さあ、どうでる?
しばらくして、ケルヴィンの顔が笑みに歪む。
「よく、わかったな・・・・・・」
「最初から、どこか引っかかるところがあった。確かに筋は通ってるし納得できる内容だったけど、何かがおかしいと思った。勘みたいなものさ。それでカマをかけてみたんだ・・・・」
「なるほどな・・・・」
「やっぱり、俺を殺しに来たのか?」
「いや、クリア様からの命令は本当だ。お前は神を奪ったことに関しては罪にとわれない」
「じゃあ・・・・」
「だが、お前は神を奪う際に、多くの仲間たちを傷つけてきたはずだ」
俺の言葉を遮ってケルヴィンが続ける。
「だから俺はウィンリィを傷つけたお前を許さない」
ケルヴィンの怒気があふれ出す。
「・・・・・公私混同とはらしくないな」
「フン、俺は常に俺の信念に従っている。そこに公も私も関係ない」
ケルヴィンの体からすさまじい闘気が放出される。もう、隠す気はないらしい。
「ヒール、俺と戦え、貴様が勝てば、俺はお前たちに協力する。だが貴様が負けたら、過去の女神ウルドのカードは返してもらう、月鬼衆とは俺たち神官が戦う。つまり、ここで貴様が負ければ貴様の旅はここで終わる」
・・・・・避けて通ることはできないな・・・・・・ならば、仕方ない。
「やるしか、無いようだな・・・・・」
一呼吸の間・・・・・・・
『デュエル!』
闘気の嵐が巻き起こった。

ヒールLP8000手札5枚
ケルヴィンLP8000手札5枚
「行くぞ!俺はリバースを1枚セットして、長寿の翼竜を召喚!ターンエンドだ」
ケルヴィンの場に年老いた翼竜が現れた。攻撃力1300か・・・・・
「俺のターン、ドロー。俺はカードを1枚セットし、アギト召喚、長寿の翼竜に攻撃」
アギトが年老いた翼竜へと向かっていく。激突、アギトの突進攻撃を受け、翼竜はあっけなく力尽きた。リバースはハッタリか?
「フン、長寿の翼竜の効果発動、この年老いた翼竜は戦闘で破壊されたとき、その遺志を若き龍へと受け継がせる、俺はサファイアドラゴンを特殊召喚する」
遺言系の効果だったとはな、油断した。ケルヴィンの場に現れたサファイアドラゴンが俺を威嚇するように唸り声を上げた。

長寿の翼竜 風属性 ☆4 ドラゴン族:効果
ATK1300 DEF1000
このカードが戦闘によって破壊されたとき、デッキからレベル4以下のドラゴン族モンスターを1体特殊召喚できる。

ヒールLP8000手札4枚
ケルヴィンLP8000→7800手札4枚

「俺はこれでターンエンドだ」
「この瞬間、俺の場のリバースカードを発動させる、強制脱出装置。貴様のアギトを手札に戻す」
ケルヴィンが発動させたカードの効果により俺のアギトは手札に戻っていった。まずい、俺の場ががら空きになってしまった。
「俺のターン!ドロー!俺はサファイアドラゴンを生贄に捧げ、エメラルドドラゴンを召喚する!さらに、遺言状を発動させ、デッキからドラゴンブレイカーを特殊召喚する!」
ケルヴィンの場に緑に輝く体を持つ巨大なドラゴンと身の丈ほどの片刃の大剣を携え、左頬に龍のイレズミをした戦士が現れた。
一気に2体のモンスターを、流れるように鮮やかな手際で特殊召喚しやがった。すべては奴の思い通りというわけか。

ドラゴンブレイカー 地属性 ☆4 戦士族:効果
ATK1500 DEF1300
自分の墓地にあるドラゴン族モンスター一体につきこのカードの攻撃力は200ポイントアップする。

「俺が特殊召喚したドラゴンブレイカーには特殊能力が備わっている、こいつは俺の墓地にあるドラゴン族モンスターの数だけその攻撃力を200ポイントアップさせる。今、俺の墓地にドラゴン族モンスターは2枚ある、よって攻撃力400ポイントアップ!」
ようするにムドラのドラゴン族バージョンか。

ドラゴンブレイカー攻撃力1500→1900

「ドラゴンブレイカーでプレイヤーにダイレクトアタック!」
ドラゴンブレイカーの大剣が俺に迫って来る。だが俺にはどうすることもできない。大検の一撃を受け俺の体に鋭い痛みが走る。
「うぐ・・・・・ッ!」
「さらにエメラルドドラゴンの追撃!エメラルドレイン!」
そうは、させるかよ!
「一体は通すが、もう一体は通さない!リバースカードオープン!サンダーブレイク!手札を1枚捨て、エメラルドドラゴンを破壊する!」
エメラルドドラゴンが天から降り注ぐ雷撃を受け倒れふす。
さらに、俺の場には卑屈な顔をした醜悪な悪魔が現れた。
「なに!?」
「狡賢い下級悪魔特殊召喚!」
「なるほどな、モンスター破壊と特殊召喚を同時に行うコンボ、なかなかやるな」

狡賢い下級悪魔 闇属性 ☆3 悪魔族:効果
ATK800 DEF500
このカードが破壊されずに墓地に送られたとき、このカードを自分のフィールド上に特殊召喚する。この効果によって特殊召喚された場合、このカードは攻撃することができない。

「だがエメラルドドラゴンが墓地に送られたことにより、俺の場のドラゴンブレイカーはさらに攻撃力が200ポイントアップした。ターンエンドだ」

ドラゴンブレイカー攻撃力1900→2100

ヒールLP8000→6100手札4枚
ケルヴィンLP7800手札3枚

「俺のターン、ドロー。俺は狡賢い下級悪魔を生贄に捧げ、雷帝ザボルクを召喚する。ザボルクが生贄召喚されたのでお前の場のドラゴンブレイカーを破壊する」
ザボルクの体から雷がほとばしりそれらが矢となってドラゴンブレイカーの体を貫いた。
「とりあえず、狡賢い下級悪魔を守備表示で特殊召喚しておこう。ザボルクでダイレクトアタック!」
ケルヴィンの場にカードは1枚もない、このダイレクトは確実に通る!
ザボルクの放つ雷の矢がケルヴィンの体に突き刺さる!
「ぐわぁぁぁぁぁ!」

ヒールLP6100手札4枚
ケルヴィンLP7800→5400手札3枚

「ターンエンドだ」
俺は、負けない!

あとがき
ツキ「今回はここまでですかね」
ヒール「まさかあいつとデュエルすることになるとはな」
リディア「強いの?」
ヒール「ああ、強い、はっきり言って半端じゃねぇ」
ツキ「設定では神殿を抜け出す前のヒールの1.5倍は強いですね。今は神殿を抜け出してから強くなったのでこの差もちょっとは縮まってると思いますけど」
ジン「つーか最近ヒールばっかりデュエルしてねーか?」
ツキ「え?」
リディア「そうよ、私なんてまだ一回もデュエルやってないんだからね!」
ツキ「う!」
ヒール「そういえばそうだな、なんでだ?」
ツキ「やっぱり主人公だから・・・・・・かな?」
リディア「不公平よ!もっと私たちのデュエルも増やしてよね!」
ツキ「大丈夫です!もう少ししたら仲間のみんなにもデュエルする機械が増えます!」
ジン「本当か?」
ツキ「・・・・・・・・・・・・・・・多分」
Date: 2004/03/27


ACT18:その手を、離さずに・・・・・・
そこは、光の届かない世界・・・・・・・
闇が、その世界のすべて・・・・
その世界に、リディアは一人、存在していた。
自分が、消えていくのがわかる、自分という存在が、どんどん崩れていくのがわかる。

――――私・・・・・死んじゃうのかな・・・・・・・?

意識がどんどん薄れていく、ここで意識が途絶えたら、もう目覚めない、すなわち、それは死・・・・・

――――嫌だよぉ・・・・・・

一人の青年の顔を思い浮かべる。彼といた時間はほんの一晩、なのに今、誰よりも会いたい。
来るはずなどない。頭では解っているのに、彼女の心は彼が来てくれることを望んでいる。

――――会いたいよぉ・・・・・・

――――助けて・・・・

――――ジン!

そのとき、闇が切り裂かれ光が満ちた。
誰かが、自分の手をつかんでいた。
その手は、とても強くて、とても暖かかった。
そしてそのまま、自分を光へと連れて行ってくれた。


ジンは刀を構え、リディアのいる黒い球体を見据える。
一呼吸おいて跳躍、そして、彼女が捕らえられている球体を切り裂く。そしてすかざす、彼女の手をつかみ、引き寄せ、抱きとめた。
「リディア!大丈夫か!?」
リディアの肩をつかみ、かるく体をゆする。
「・・・・・ぅ・・・・」
かすかな反応、どうやら生きているようだ。思わず安堵の息を漏らす。
「ジ・・・ン・・・・・?どうしてここに?」
「お前が危ないって聞いたんでな、大丈夫か?」
「うん、ありがとう」
突然、リディアがジンに抱きついてきた。
「怖かった・・・・自分が、消えていくのが・・・・」
おそらくそれは、死よりももっと不安なのだろう、死を超えし恐怖、この少女には、それはつらすぎた。彼女の体の震えがそれを証明している。
だからジンは、彼女を安心させるため、彼女の頭をなでながら言った。
「大丈夫だ、俺が護ってやる。絶対に」
「・・・・ありがとう」
二人は自然と顔を近づけていき・・・・・
そこに不躾な闖入者が現れた。
「大丈夫か!?ジン!」
慈円を倒し、ジンを追ってきたヒールだった。


俺は部屋に入ったとき、己の愚を悟った。どうやらジンはリディアを助け出すことに成功したらしい、だが問題はそこじゃない、
俺が入ってきたタイミングがべらぼうに悪かった。かといって、もうすでに入ってきて声までかけてしまったのにいまさら出て行くことはできない。
「ああ、お前の無事だったんだな」
俺を見るジンの目に微妙に殺気が混じっている。
俺はこの状況をどう打開しようかと思案しようとして・・・・・
出し抜けに起こった拍手に思考を中断させられた。
拍手のした方向を見ると、そこに立っていたのは白衣を着た科学者風の男、ちょうど、今そこに血まみれで倒れている男のような格好をしていた。
ん・・・・?おかしい、今立っている男の顔、そこで死んでる奴の顔と瓜二つだ。どういうことだ?
「馬鹿な・・・・」
後ろのほうでジンが驚愕の声を上げた。
「お前はさっき、俺が殺したはず」
「ん?ああ、そこに転がってる奴のこと?あれは僕のダミーだよ、あまりできが良くなくてね、そろそろ処分しようと思っていたところだったからちょうど良かったよ。ありがとう」
俺の本能が告げている、こいつは危険だと・・・・
「おいジン、こいつは一体何者なんだ?」
ジンに問いかける。
「こいつは、最澄とか言うマッドサイエンティストだ」
最悪・・・・・・
「ひどいなぁ、じゃあ、そっちの銀髪の坊やのために改めて自己紹介させてもらおう、僕の名は最澄、月鬼衆最高幹部、死鬼天(しきてん)の一人にして、月鬼衆魔導研究所所長。よろしく」
最澄と名乗った男は、慇懃に礼をした。
「何のようだ?」
ジンが刀を構える俺も銃を構えた。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ、今回のことはそこのダミーが勝手にやったことだし。それよりもジン君って言ったけ?あの球体を切り裂く君に少し興味がわいたよ、それに、神を従えている君にもね」
興味、か・・・・・奴はなはだしい勘違いをしている。俺は別にウルドを従えているわけではない。ただ互いの目的のために共闘しているに過ぎない。もっとも、そんなことをこいつに教えてやつ義理はないが。
「だからさ、僕の研究成果を見てくれないかな?」
そういって最澄は指を鳴らす。すると俺が入ってきた扉から二人の白いローブに身を包んだ男が二人出てきた。神官、二人とも見覚えがある。俺たちがこの村に来たとき、リディアを罵倒していたクソ爺共だ。
「僕はね、今人とカードの融合実験をしているんだ。で、この二人はその試作品として作ったんだ。それで今後の研究の参考に、君たちにけしかけてみようと思うんだ」
そういうと二人の爺どもの体に劇的な変化が現れた。
一人の筋肉が膨張し、背丈がふた周りほど大きくなった。皮膚の色も赤になっている。
もう一人は体格こそ変わらないもののありえるはずのない第3、第4の腕が生えそれぞれの腕が常人の1.5倍に伸びた。皮膚の色が灰色になった。
二人とも醜悪な面をしているとは思っていたが、まさか人間やめていたとはな。
「さあ、いきたまえ」
二人が俺たちに向かって突進してきた。筋肉膨張は陣へ、4本腕は俺へとそれぞれ向かってきた。
俺はすかさず引き金を引く。吐き出された弾丸は爺の眉間へと命中する。だが爺は意に関した様子もなくこちらに向かってきた。
「クカカカカ、無駄じゃ、わしの体は鋼鉄よりも硬くなっておる!銃弾ごときではびくともせんわ!」
爺が拳を繰り出してきた。俺はそれを後ろに数歩下がって回避する。と、そのとき俺の視界の隅に爺の上の腕が動くのが見えた。
俺はとっさに横に飛びながらわき腹をガードする。一瞬後に衝撃が走る。奴の長い腕が俺のガードした腕を捕らえたのだ。
俺は殴られた勢いを利用して距離をとる。ダメージ箇所をチェック、大丈夫だ、骨に異常はない。しかし銃が聞かないとなるとカードでやるしかないな。俺はカードを引こうとして一瞬爺から注意が離れる。その隙につけこまれた。爺は口から何かを吐き出した。とっさのことに俺の反応が遅れカードを引こうとした腕にそれを浴びてしまう。
「な、なんだ!?ねばねばしやがる!」
まるでくもの糸のように俺の腕にまとわりつきやがる、くそっ、取れねぇ。と、糸はみるみるうちに硬質化してきた。
「こ、これは!?」
「わしの体から出される糸は、外気に触れると硬質化する特性があるのじゃ、そしてその糸はわしの体と同じ強度を誇る。これで貴様はカードを使えない、おとなしくわしに殺されるがいい!」
爺が飛び掛ってきた、もう勝ちを確信してやがる。俺は硬質化した腕を軽く叩く。
そして爺が上から繰り出してくる攻撃をかわして奴の左胸に硬質化した腕を叩き込む!何かが割れる鈍い音とともに俺の腕に巻きついていた硬質化した糸と爺の体の殴られた部分の皮膚が割れ、爺の体の筋肉繊維が見えた。
「な、なんだと!?」
「考えてみれば簡単なことだ」
俺は爺の左胸に銃口を押し当てる。
「同じ強度なら、互いにぶつけ合えば壊れるよな?あばよ」
俺は銃に装填されていた6発の銃弾をすべて奴の左胸にぶち込んだ。爺はゆっくりと倒れ、動かなくなった。
ジンのほうを見てみると、もう終わっていた。相手の神官は両腕を断ち切られ、首を切り飛ばされていた。
「次はお前の番だ、覚悟はできているだろうな?」
ジンが最澄に向けて刀の切っ先を突きつける。だが奴はまったく動じた様子を見せない。
「え〜、やだよ、君たち強いもん、まだ死にたくないからねぇ」
どこまでもふざけた奴だ。この状況でもまだ余裕を保ってやがる。
「ふざけんじゃ、ねぇよ!」
ジンが跳躍し、最澄の頭に向かって刃が振り下ろされる!
だが、必殺の刃が最澄の頭を捕らえる瞬間、横から現れた影がその一撃を受け止めていた。
「な、なにぃ!?」
「・・・・・・・・・・・」
突然の乱入者は無言でジンの刀を体ごととはじき飛ばす。一体何者だ?
「どうやら人とモンスターカードの融合はお互いの自我が邪魔してうまくいかなかったようだねぇ、だが彼女はさっきのとは格が違うよ」
現れたのはメイド服に身を包み、その容貌にはどう考えても似合わない巨大な両刃の剣をかついだ小柄の少女、それが最澄を守るように立ちはだかっている。
見た目はただのメイドさんって感じだが、ジンの一撃をはじき返した膂力はどう考えても普通のものであるはずがない。
「彼女もね、人とカードの融合体なんだけど、こっちはモンスターカードじゃなくて魔法カードと融合させたんだ。魔法には自我がないからね、こっちのほうが人間の体にもすんなりなじむようだよ」
マジかよ、こいつ、いかれてやがる。最澄はさらに得意げに続けた。
「しかも彼女は素材としてもすばらしい能力を備えていてね、普通の人間ならば魔法カードでも融合できるのは2枚が限界なのに、彼女はその倍、4枚のカードとの融合を果たし、さらにその力を完全に制御できるんだ。まさに僕の最高傑作だよ」
聞いてて反吐が出る内容だ。見たところ、あの子は14、5歳といったところだろう。そんな子供までいかれた研究とやらの材料にするなんて、許されることではない。
「さてと、そろそろ逃げさせてもらおうかな。ジルネール、援護を頼むよ」
「させるかぁ!」
俺とジンはほぼ同時に動いた。こいつを逃がすことは危険だ。今のうちにやるしかない。
だが俺とジンの前にジルネールと呼ばれた少女が立ちはだかる。速すぎる、視認できなかった。
「マスターの邪魔はさせません」
一閃、俺達はとっさにバックステップでその一撃を逃れる。だがそこに、最澄に逃亡の隙を与えてしまった。
「じゃあね〜♪」
俺達は逃げる奴を追うことができなかった。


リディアを助け出し、村へと帰ってきた俺たちを村人たちが迎えてくれた。
家が焼かれてしまった人たちは宿屋に泊まるそうだ。ついでに俺たちもただで宿屋に泊まらせてくれるといったので泊まることにした。
今日はさすがに疲れたぜ。
そして翌日、村をたとうとしていた俺たちの前にリディアが現れた。
「私も連れてって」
・・・・・・・・・・・・・・ちょっとした沈黙。
「危険すぎる、つれてはいけない」
ジンが却下する。俺の意見は完全無視の方向で進んでいるな。
「母さんにはもう了承を得たわ、それに村の人たちにももう迷惑かけられないし」
一理ある、最澄の糞野朗はリディアには手を出さないといったことを言っていたが本当かどうか怪しいものだ。とすると、俺たちと一緒にいたほうが危険は少ないかもしれない。
なおもしつこく食い下がるリディアにジンが俺に話を振ってきた。
「ヒール、お前からも一言言ってくれよ!」
そうだな、よし、一言言ってやるか。
「いいんじゃないか?連れて行っても」
「おいヒール!」
いきなりジンが俺の胸倉をつかんできた。その目には微量ながら殺気が混じっている。
「危険だということはお前が一番良く知っているだろう!それなのに連れて行くとは、一体どういうことだ!」
ジンの言うことももっともだと思う。だがそれでも彼女はついて行くと言って聞かないだろう。それならば一緒に連れて行ったほうがいいと思うのだが。ジンの後ろではリディアが俺に期待のまなざしを向けてくる。仕方がない、この頑固者を説得してやるか。
「関係ないだろそんなこと。お前が、護ってやればいい」
「そういう問題じゃない!下手すりゃ命まで落とすことになるんだぞ!?わかってんのか!?」
やれやれ、俺は少し挑発的な笑みを浮かべて口を開く。
「お前は、自分の大切なもの一つ護れないほどに弱いのか?」
俺のように。と、心の中で付け加える。
するとジンは沈黙した。
「・・・・・・・わかったよ、リディアは俺が護る。」
了承の言葉。リディアの顔が輝いた。だが俺にはひとつ気がかりなことがある。
「リディア、一緒に連れて行くのはいいが、何か武器になるようなものはあるのか?」
これが一番の気がかりだ、確認しないわけには行かない。
「ええ、一応カードデッキを持ってるわ、昔父さんが使っていたものなの」
「見せてくれ」
リディアからカードデッキを受け取ると早速ジンと一緒に中身を確認する。
・・・・・・なかなか優れたデッキだな。これならば、よほどのことがない限り大丈夫だろう。
「すごいな、かなり完成度の高いデッキだ。テーマはエルフデッキか?」
「ええ、そうみたい」
カードデッキをリディアに返し、俺達は歩き出した。その途中リディアには聞こえない程度の小声でジンに話しかける。
「ジン、大切なものは、しっかりとつかんでいろ」
「あ?」
「大切なものは、もろく壊れやすい。しっかりとつかんだつもりでも、指の間からいとも容易く滑り落ちてしまう。わかったな?」
「ああ、わかってる、絶対にあいつは俺が護る」
大切なものを護りきれない、そんな思いをするのは、俺一人で十分だ。ジンには、そんな思いはして欲しくない。だからなジン、お前はリディアと共に生きていけ、つかんだその手を、離さずに・・・・・・


あとがき
今回も長いですね。でもうまくまとめることができてよかったです。
次からは新章に入ります。期待はあまりできないでしょうが、最大限の努力はします。

キャラクタープロフィール
リディア=ハーティ
17歳 A型 身長162cm 体重49kg
森の中の小さな村に住んでいたハーフエルフの少女、父親がエルフ、母親が人間の家庭に生まれたが、物心ついてからすぐに父親が病気で他界。以来母一人子一人という境遇にもまけずに明るく笑い続ける少女。
身体的特徴は緑の髪に緑の瞳、髪も瞳も緑という珍しい体質。デッキは父親の形見のエルフデッキ
Date: 2004/03/25


ACT17:天使の洗礼
慈円のモンスターの攻撃により俺の場はがら空きになっちまった。さてどうする・・・・?

ヒールLP7200手札2枚
慈円LP5800手札0枚

「俺のターンだな、ドロー」
引いたカードは強欲な壷、よし、いいところに来た。早速使用、そして2枚のカードをドローする。
・・・・・・・・・・これなら何とかなるか?
「俺はカードとモンスターを1枚ずつセットして、ターンエンド」
「我のターン、ドロー!手札を1枚捨て、その守備モンスターを破壊する!」
予想通りだな、俺の守備モンスター、マシュマロンはいとも容易くは解され俺の場にモンスターがいなくなる。
「さらにライフを支払いモンスターの功守逆転!」
ワンパターンな戦術

XYZ−ドラゴン・キャノン攻撃力2800→2600守備力2600→2800
機動砦のギア・ゴーレム攻撃力800→2200守備力2200→800

「2体のモンスターでダイレクトアタック!」
2体の大型モンスターが俺に襲い掛かってくる。だが俺は内心ほくそえんでいた。
「リバースカードオープン!リビングデットの呼び声!」
リバースが翻り俺の場に闇が収縮してくる。
「俺はこいつの効果でヴァルキリーの切り込み隊長を蘇生させる!そして孤独な天使ネフィタルを特殊召喚するぜ!」
俺の場に、ヴァルキリーたちを引っ張る切り込み隊長と白い翼を持ってはいるがその髪と瞳の色が黒な天使が現れた。心なしか表情が晴れていない。
「ネフィタルはな、その容貌から天使たちに嫌われていつも一人ぼっちな哀れな天使でね、
寂しがりやだから周りのやつらを引きずり込もうとしているんだ、闇の世界へね」
見るとネフィタルが立ち上がり周りを見渡す、そして・・・・・・
「我が命のかけらをその力の糧とし、すべてを飲み込めネフィタル!」
ネフィタルの周りから天使にはあるまじき闇があふれ出し、周りの者たちを飲み込んでいく。闇が晴れたとき、ネフィタルも含めその場に残っているものはいなかった。

ヴァルキリーの切り込み隊長 光属性 ☆4 天使族:効果
ATK1700 DEF1600
このカードの召喚、特殊召喚に成功したときレベル4以下の天使族モンスター1体を手札から特殊召喚することができる。

孤独な天使ネフィタル 闇属性 ☆3 天使族:効果
ATK1300 DEF800
このカードが特殊召喚されたとき、2000ライフポイントを支払いこのカードを生贄にすることでフィールド上の全モンスターを墓地に送る。

「クソッ、ターンエンドだ」

ヒールLP7200→5200手札1枚
慈円LP5800→5100手札0枚

「俺のターン、ドロー。俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ」
手札にモンスターが来ない、ここはこれで凌ぐしかない。
「我のターン、ドロー。フハハハハハ」
引いたカードを見て慈円が高笑いを始めた。何かいいカードでも引けたのか?
「死者蘇生!これで我は人造人間―サイコ・ショッカーを蘇生させるぞ!」
「なっ!?」
サイコ・ショッカーだぁ!?あの罠破壊能力のある最悪の機械族モンスターじゃねぇか!?そんなカードを出してくるとは・・・・XYZ−ドラゴン・キャノンの効果で捨ててやがったな。
「ダイレクトアタック!サイコエナジーショク!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!」
くそっ、さすがにこう何回もダイレクトを喰らうときついな。
「ターンエンドだ」

ヒールLP5200→2800手札1枚
慈円LP5100手札0枚

「俺のターンだ!ドロー!」
ここで何か引かないと負ける!頼む!
引いたカードは・・・・よし!まだチャンスはある!
「俺は戦乙女(いくさおとめ)の祝福を発動する!」

戦乙女の祝福:通常魔法
自分の墓地にある天使族モンスターを任意の枚数除外する。(最大4枚まで)あなたは次のうちどちらかひとつの効果を選ぶ。
●除外したカードの数だけカードをドローする。
●除外したモンスターのレベルの数×200ポイントライフを回復する。

「俺はドロー効果を選択するぜ!」
俺はパーシアス、ムドラ、ヴァルキリーの切り込み隊長、デュナミスヴァルキュリアの4枚を除外してカードを4枚ドローする。
・・・・・・勝てる。これが俺の率直な感想だった。奴に次のターンは来させない!
「次元融合発動!」
俺の場に除外されたモンスターたちが特殊召喚された。
「だがいくらモンスターを並べようがその程度の攻撃力では意味がないぞ!」
そんなことは解ってるさ。
「俺はヴァルキリーの切り込み隊長とデュナミスヴァルキュリアの二体を生贄に捧げ、来たれ!過去の女神ウルド!」
俺の場にまばゆい光とともに神が降臨した。

過去の女神ウルド 光属性 ☆9 天使族:効果
ATK3000 DEF2600
このカードは通常召喚できない。自分の場の光属性モンスター2体を生贄に捧げて特殊召喚する。
このカードが戦闘によって受けるコントローラーへの戦闘ダメージはすべて0になる。このカードが破壊されたとき、このカードは自分のフィールド上に一度だけ特殊召喚できる。この効果で特殊召喚した場合、相手のフィールドのモンスターをすべてデッキに戻す。その後相手はデッキをシャッフルする。この効果はデュエル中一度しか使用できない。

「ヒールよ、我の助力が必要か?」
ウルドが口を開く、久しぶりの登場だったな、そういえば。
「ああ、頼むぜ、ウルド!」
「フッ、まかせておけ」
「さらに俺はゾルガを召喚して、過去の女神ウルドでサイコ・ショッカーに攻撃!エーテルマテリアル!」
まばゆい光がサイコ・ショッカーを包み込む!光が収まったとき、サイコ・ショッカーの姿は跡形もなかった。
「残りのモンスターでダイレクトアタック!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!」
絶叫とともに倒れふす慈円、勝負は決した。

ヒールLP2800→800手札2枚
慈円LP5100→0

「む、無念・・・・・・」
力尽きる慈円、俺の、勝ちだ。
俺はジンの後を追うべくホールを後にした。


ヒールと別れたジンはひときわ立派で大きな扉の前に立っていた。
「ここか・・・・」
扉を蹴り壊し中へと入っていくジン、そこにいたのは白衣を着た、科学者風の男が一人、そして彼の後ろには黒い球体が浮かんでいた。球体の両隣になにやらごつい機械が並んでいる。
だがそんな機械のことなどジンにとってはどうでもよかった。問題は浮かんでいる黒い球体。球体の色は黒だが中が透けて見える程度の薄い黒、その中にリディアはいたのだ。リディアはひざを抱えた姿勢でその中にいた。
「リディア!」
呼びかけてみるが反応はない。
「無駄だよ、君の声は彼女には届かない」
白衣の男が口を開いた。白衣の男を見る目は殺気に満ちていた。
「お前か?リディアをこんな目にあわせたのは?」
「ああ、彼女かい、そうだね、一応僕ってことになるのかな?ああ、自己紹介がまだだったね、僕の名は最澄、月鬼衆の最高幹部、死鬼天の一人だよ。よろしく」
最澄と名乗った男は、人の神経を逆なでするような軽い口調で言った。その声が、ジンの怒りのボルテージをみるみるうちに上げていった。
「そうか、覚悟はできてんだろうな?」
「怖いなぁ、怒らないでよ、何故僕がこんなことをしたのか、知りたくない?」
最澄は、まるで子供が自分の作った作品を自慢げに紹介するような話し振りで言葉を続けた。
「ハーフエルフってさ、常識的に考えれば人間の血が混じっている分、その身に宿している魔力の絶対量は純血のエルフよりも少ないと思われているけど事実は違うんだよ、どのハーフエルフも純血のエルフよりももっている魔力の絶対量は多い、中には純血のエルフをはるかに凌ぐ者だっているのさ。もしも、その魔力を自分のものにすることができるとしたら?それって結構すごいことだと思わない?」
ジンが一歩踏み出す。
「まあ待ちなって、まだ話は終わってないんだから、結構苦労も多くてさ、たまたまこの村に彼女を見つけてね、いきなりサンプルとして連れて行こうにも、目立った行動はできるだけ取りたくなかったからね、だからこの教会の神官達を全員殺してこの地下に研究施設を作ったんだ。もちろん、神官達の偽者も用意してね、急に神官が変わってもおかしくないことを利用したんだけど、結構うまくいくモンだよね、偽者の神官達にいつ彼女が神官に処刑されてもおかしくない状況を作り出させる。こうして晴れて彼女をここに連れてくることに成功したんだ」
最澄の話をジンは聞いていたとは思えない、ただ黙ってリディアが入っている球体を見ていた。その視線に気づいたのか、最澄が再び話し始める。
「ああ、あの黒いの?気になるでしょ?いきなり魔力を体から摘出しようとしてもまず本人の意思が邪魔してうまく摘出できないんだ。そこでまずはその意思を砕くことが必要となる、あの球体は中に入っている人間の精神を少しずつ壊すものなんだよ、そして本人の意思を完全に消し去った後、体から魔力を摘出して僕の体に注入すれば、僕はエルフすら超える魔力を、絶対の力を手にすることができる。これってすごいことだよね?僕はこれで人を超えることが・・・・・・・!?」
肉を切り裂くいやな音が、部屋に響いた。
「あ、れ・・・・・・?」
最澄の目が驚愕に見開かれる。さっきまでジンと最澄の距離は5メートルはあったはずだった。それなのに今、二人の距離はゼロとなっている。
そしてジンの抜き身の刀が、最澄の体を刺し貫いていた。
「もういい・・・・・・」
そういってジンは手首をひねった。最澄の傷口からおびただしい量の血があふれ出る。
「もう、しゃべるな・・・・・・」
刀を横なぎに振り払う。鮮血が飛び散り、最澄の胴体が千切れかかる。そのまま最澄の死体は地面へと沈んでいく。
「待ってろリディア、今助けるからな」
ジンはリディアが捕らえられている黒球体へと歩みだした。


あとがき
今回はやけに長いですね、おかげで疲れました。
Date: 2004/03/24


ACT16:鋼鉄の猛攻
「決闘!」
二人の声がホールに木霊した。

ヒールLP8000手札5枚
慈円LP8000手札5枚

「おれの先攻!ドロー!」
よし、いい手札だ、いける!
「俺はカードを2枚セットし、シャインエンジェル召喚!ターンエンド」
「我のターン!ドロー!大方お前は、自分の場に遺言系のモンスターが場に出ているから攻撃しづらいと思っているだろう、甘いわ!」
慈円がカードを繰り出す!
「機動砦のギア・ゴーレム召喚!」
ギア・ゴーレム?ライフを犠牲にして直接攻撃ができるモンスター、だが攻撃表示で出しても次のターンでやられるだけ、何を考えてやがる?
「さらに永続魔法ウエポンチェンジ発動!」
「クッ!」
そういうことか、功守逆転のカードで大量ダメージを狙うつもりか!
「700ポイントのライフを支払い、ギア・ゴーレムの攻守を逆転させる!」

機動砦のギア・ゴーレム攻撃力800→2200守備力2200→800

「さらに800ポイントのライフを支払い、プレイヤーにダイレクトアタック!」
ギア・ゴーレムの体当たりが俺に直撃した。たまらず俺は吹っ飛ばされた。やってくれるな。だが!
「この瞬間、リバースカードダブルオープン!体力増強剤スーパーZ、そして痛みの代価!」
俺の2枚のリバースが翻る!

痛みの代価:通常罠
自分がダメージを受けたときに発動、受けたダメージ以下の攻撃力を持つモンスター1体を特殊召喚できる。このカードは相手ターンでなければ発動できない。

「こいつの効果で俺はヴァルキリーの切り込み隊長を特殊召喚するぜ!さらにこいつの効果は召喚、特殊召喚されたとき、レベル4以下の天使族モンスター1体を特殊召喚できることだ!俺はこいつの効果でデュナミスヴァルキュリアを特殊召喚する!」
「なっ!?一気に3体のモンスターがフィールドに並んだだと!?」

ヴァルキリーの切り込み隊長 光属性 ☆4 天使族:効果
ATK1700 DEF1600
このカードの召喚、特殊召喚に成功したときレベル4以下の天使族モンスター1体を手札から特殊召喚することができる。

ヒールLP8000→9800手札2枚
慈円LP8000→6500手札4枚

「無駄にライフを払ったな」
「黙れ、我はカードを1枚伏せターンエンド」
「俺のターン!ドロー!俺は生贄の宝札を発動するぜ!」

生贄の宝札:通常魔法
自分の場のモンスター1体を生贄に捧げる。生贄に下モンスターのレベルの半分(小数点以下切り下げ)の数だけカードをドローする。

「俺はこいつの効果でシャインエンジェルを生贄にし、カードを2枚ドローする」
シャインエンジェルが光の粒子となって消え俺は2ドローの機会を得る。
「ヴァルキリーの切り込み隊長を生贄に捧げ、天空騎士(エンジェルナイト)パーシアスを召喚するぜ!」
俺の場に人馬一体の天使が現れる、このカードは攻撃力こそ1900と低いが貫通効果にドロー効果と二つの便利な効果を併せ持つカードだ。そして、このカードとの愛称は抜群だ。
「さらに俺はダグラの剣をパーシアスに装備させ攻撃力アップ!」
パーシアスの攻撃力が2400に跳ね上がりさらに回復効果も得た。これで一気に決める!

天空騎士パーシアス攻撃力1900→2400

「パーシアスでギア・ゴーレムに攻撃!」
パーシアスがギア・ゴーレムへと突き進む!
「させるかぁ!リバースカードオープン!重力解除!」
「ッ・・・・・・・!」
パーシアスと追撃をかけようとしていたデュナミスヴァルキュリアが守備表示になる。一応ギア・ゴーレムも守備表示になったが余り関係ないだろう。
「ターンエンドだ」
「我のターン!ドロー!魔法カード、強欲な壷を発動させる」
ドロー強化カードか、引き運いいな。
「永続魔法、前線基地発動!これで我はZ―メタル・キャタピラーを特殊召喚!さらにX−ヘッド・キャノン召喚!ヘッド・キャノンでパーシアスを、メタル・キャタピラーでヴァルキュリアを、それぞれ攻撃!」
俺のモンスターが全滅してしまった。少々侮っていたか?
「我はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
「俺のターン!ドロー!」
あの伏せカード、罠か?それとも・・・・・・・
「俺は、ムドラを召喚する、ムドラは自分の墓地にある天使族モンスターの数だけ攻撃力を200ポイント上げる効果を持つ、今、俺の墓地には4枚の天使族が存在している。よって攻撃力800ポイントアップ!」

ムドラ攻撃力1500→2300

「ムドラでX−ヘッド・キャノンに攻撃!」
ムドラの曲刀がX−ヘッド・キャノンを切り裂く寸前、慈円のリバースが翻った!
「リバースカードオープン!静謐なる聖域!」

静謐なる聖域:通常罠
相手が攻撃を宣言したときに発動。相手の攻撃をすべて無効化しお互いにデッキからレベル4以下のモンスターを1体フィールドに特殊召喚する。

「これの効果でお前の攻撃は無効、さらに我はデッキからY−ドラゴン・ヘッドを特殊召喚!」
クソッ!まんまと奴の罠にはまっちまった。戦況は少々俺に不利だな。
「・・・・・・俺は黒き森のウィッチを守備表示で特殊召喚する」
俺の場に三つ目の魔女が祈るようなポーズで現れた。
「リバースカードを1枚セットしてターンエンド」
「我のターン!ドロー!我の場に在りしX−ヘッド・キャノンとY−ドラゴン・ヘッドとZ−メタル・キャタピラーの3体をゲームから除外して、いでよ!XYZ−ドラゴン・キャノン!」
慈円の場にいた3体のモンスターが合体し、ひとつのモンスターとなってその姿を現した。
「XYZ−ドラゴン・キャノンの特殊能力、手札からカードを1枚捨てることで相手フィールド上のカードを1枚破壊する!今我の手札は2枚、よって2枚の手札を捨て、お前のリバースカードとムドラを破壊する!」
XYZ−ドラゴン・キャノンからの砲撃を受けて俺のムドラとリバースカードの聖なるバリア―ミラーフォース―が破壊された。ミラーフォース最近いいところないな。
「さらに我はウエポンチェンジの効果でライフを支払い、2体のモンスターの功守逆転!」

XYZ−ドラゴン・キャノン攻撃力2800→2600守備力2600→2800
機動砦のギア・ゴーレム攻撃力800→2200守備力2200→800

「ギア・ゴーレムで黒き森のウィッチに攻撃!」
ギア・ゴーレムの突進攻撃を受けてウィッチの体は軽々と吹き飛ばされた。
「そしてXYZ−ドラゴン・キャノンでダイレクトアタック!」
ドラゴン・キャノンの砲撃が俺を襲う。俺は激痛に歯を食いしばって耐えた。
「ぐぁ・・・・・・・・・・・ッ!」

ヒールLP9800→7200手札1枚
慈円LP6500→5800手札0枚

「俺は黒き森のウィッチの効果でマシュマロンを手札に加える」
「ターンエンド」
「俺のターン!ドロー!」
戦況は極めて俺に不利だ、どうする・・・・・・?


あとがき
ツキ「今回なんか短いですね」
ヒール「ならもっと長く書けばいいじゃねぇか」
ツキ「そうするとキリが悪いんです。決闘の最後まで行ってしまいそうで」
ヒール「いけばいいじゃねぇか」
ツキ「そうしてしまっては次がものすごく短くなってしまいます。僕だってちゃんと考えてるんですよ」
ヒール「ほんとかよ?」
ツキ「本当です。あれだけあなたたちに言われましたからね、行き当たりばったりじゃなくてちゃんと構成ぐらい練ってますよ」
ヒール「誇れることじゃないけどな、当然なんだし」
ツキ「はぅ・・・・・・」
ヒール「次はもっとマシなもの書いてくれよ」
ツキ「努力します・・・・・・・」
Date: 2004/03/24


ACT15:敵地突入
俺たちはリディアの家に招待されて並みの宿屋よりもよほど豪華な夕食をご馳走になった後、寝室に案内された。それからしばらくたった。
ジンは月光浴に行って来ると言って出て行ったきり帰ってこない。
仕方がないので今まで銃の整備をしていたのだが・・・・・もう終わってしまって暇だ・・・・・・
さてどうするか?と、考えていた俺の目に俺の愛用するデッキが飛び込んできた。
・・・・・・・デッキ構築でもするか、このまま月鬼衆の奴らと本格的にやりあった場合、今のデッキのままじゃ不安が残るからな。
俺はデッキを手に取り構築を始めた。


ヒールがデッキ構築に励んでいるころ、ジンは村のはずれに一人たたずんでいた。
と、そこへリディアがやってきた。
「あの、助けていただいてどうもありがとうございました」
「ん?」
「え・・・と、まだお礼を言ってなかったから・・・・・」
「ああ、別に気にすることじゃない、俺たちがしたくてしたことだからな」
「それでも、ありがとうです」
そう言ってリディアははにかんだように笑った。それを見てジンの顔にも微笑が浮かぶ。
「あの、なにか?」
「いや・・・・・、やっぱあんた、笑顔のほうが似合ってるよ」
リディアは恥ずかしそうに顔を赤らめながらうつむく。それを見てまたジンの顔に微笑が浮かぶ。
しばらく雑談したあと、リディアが口を開いた。
「あの、ジンさんたちはこれからどうするんですか?」
「ん?さあな、ヒールしだいだな、俺はあいつのたびに付き合ってるだけだからな」
「そうなんですか」
「あ、それから、敬語はやめてくれないか?なんか、くすぐったくてな」
「はぁ・・・解りました」
「ほら、だから敬語は勘弁してくれって」
ジンがてれたように笑う
「じゃあ・・・・・うん、わかったよ、ジン」
「そうそう、そんな感じだな」
静かな村に、二人の笑い声が響いた。


翌日、俺たちは朝食をすませてから村を出ることにした。
「それじゃあ、俺たちはこれで・・・・・」
「はい、道中の安元を祈っております」
村長が人の良い笑顔を向ける結構な年のようだがその笑顔はあのクソ爺どもとは大違いだ。
俺達は村人の笑顔に見送られながら村を出た。
しばらく森の中を歩いて・・・・・・・
「いい子だったな」
俺はジンに向かって話しかける。
「ん?リディアか?そうだな」
昨日の晩に二人が一緒に戻ってきたときの笑顔を見て、俺は思った。
このまま、こいつをおれの旅に同行させていいのかと・・・・・・・
だから俺は、思い切って聞いてみることにした。
「なあ、ジン・・・・無理に俺のたびに付き合うことはないんだぞ?」
「何?」
「お前がその気なら、いつでも別れてもいいんだぞ?」
「なんだそんなことか」
「そんなことかって・・・・・」
「言ったろ?あいつらにお前の神を渡すことはできないって」
「だが無理して付き合うことはないと」
「決めたんだよ」
俺の言葉を遮ってジンが続けた。
「お前と一緒に行くって。だから簡単に別れるわけにはいかんのよ」
それに、とジンは続けた。
「お前一人じゃ危なっかしいからな。お前弱いし」
大きなお世話だ。確かに肉弾戦では俺はこいつには勝てないだろう。だが決闘では引けをとるとは思えない。俺はそれについて言い返そうとして
轟音に阻まれた。
「なんだ!?」
俺とジンは同時に後ろを振り向く。俺たちが来た方向、―すなわち、リディアたちの村の方向が―燃えていた。
「おい、ありゃぁ」
土地を開いた俺の言葉を聞かずにジンが走り出す。俺もそれに続く。ひどく嫌な予感がしたから。
そして不幸にも、その予感は的中してしまった。
村の一部の家が燃えていた。ちょうど、リディアの家を中心として周りの数件かが。
「こ、これは・・・・?」
俺が驚愕のうめき声を上げている間にジンは走り出した。俺もそれに続く。
そして傷を負ったリディアの母親と、その手当てをしている村人数人に出会った。
「いったいなにがあった!?」
村人の一人にジンが詰め寄る。
「神官達が、リディアを処刑すると・・・・・邪悪な魔女を処刑するって・・・・・邪魔をするならお前たちも処刑するといって、リディアを助けようとした奴らに大怪我をさせて、挙句の果てにあいつら家を焼きやがった!」
なんてこった・・・・・・・俺はめまいがした。ここまでいかれた神官がいたなんて・・・・・・
元神官として、この事実は結構ショックだった。
「それで、あいつらはリディアをどこへ連れて行ったんだ?」
ジンの言葉に意識が現実に引き戻された。そうだ、今はそんなことを嘆いている場合じゃない、何とかしてリディアを助けないと・・・・・・
「奴らはリディアを、教会へ連れて行った」
教会、神官達はそこで民衆に宗教についての教えを説いたり町や村を襲う盗賊は度から民衆を守るために戦う、もっとも、神殿勤務だった俺は守るための戦いならしたことはあるが宗教を説いたことはない。
俺達は教会にたどり着いたとき、門番らしき二人が立ちはだかった。
「貴様ら!何者だ!ここは神聖なる教会だぞ!貴様らのような輩が入ることなどできん!」
二人の門番は互いに持つ棒をクロスさせ入り口をふさぐ、そこで俺は昨日感じた違和感の正体に気づいた。俺は黙って神官の一人に近づき、そいつの頭を打ち抜いた。
「なっ!?」
向こうもいきなり撃たれるとは思っていなかったらしい、残ったもう一人の神官は驚愕の声を上げた。
「き、貴様、我らが神官になんという」
「見え透いた芝居はもうやめろ、反吐が出る」
自称神官の言葉を遮って俺は言葉を続けた。
「お前らが本当に神官なら、何故俺を見て何も言わないんだ?」
「あ・・・・」
ジンにもこいつらが偽者だとわかったようだ。そう、俺は仮にも神を奪って逃亡中の身だ、神殿のほうも早く俺を捕らえたいだろう、だから、こいつらが本当に神官なら俺を見て何の行動にも出ないのは明らかにおかしい。
「そういえばそうだったなっと」
言いながらジンはもう一人の神官に顔面に肘を叩き込んでいる。
「さて、行くか」
「ああ」
俺達は教会の中へと入って行った。

「まあ、大体解っていたことなんだけどよう」
ジンがぼやくようにつぶやいた。礼拝堂には死体の山と血の海が広がっていた。全員見覚えのある仮面をつけている。教会に入ったとたんこいつらに襲われたのだ。全員俺の銃弾やジンの刀の餌食になったが。
「月鬼衆ね・・・・・・」
「まさか奴らがかかわっているとはな」
言いながらジンが歩き出す。どこに行く気だ?
「ヒール、教会には礼拝堂しかないのか?」
「まあ、小さな教会は大体そうじゃ何のか?行ったことないから解らないけど」
「じゃあリディアはどこに連れて行かれたんだ?」
「これは推測だが」
はじめに前置きをしてから俺は話し始める。
「おそらくどこかに地下へと続く隠し階段があるはずだ」
「隠し階段?なぜ?」
「おそらくリディアを処刑するというのは嘘だろう、なんらかの目的があってさらったものと考えられる、だが俺たちが爆発を聞きつけてからここに来るまでそう時間はたっていない、そんな短時間に彼女を遠くへ運びだすことはできない、とするとこの教会のどこかにいるということになる。必然的に隠し階段のようなものがあると考えてまず間違いないだろう」
確証はないけど。
「なるほど、じゃあ手分けして探してみようぜ」
隠し階段はわりとあっさり見つかった。
「ここだな」
「ああ、間違いないな」
隠し階段を下りていくと広いホールのようなところに出てきた。ホールの中心に人影が立っていた。
「来たか・・・・・」
黒髪、黒い瞳、きているものも全部黒という長身の男。まさか・・・・・
「慈円か?」
「いかにも」
まじかよ、余計な時間を食ってる暇はないってのに
「ここから先へは行かせん」
避けて通ることはできない・・・・・ならば
「おいジン、ここは俺が引き受けるから、お前は先に行け」
「なに?」
「ここで時間を食うわけには行かない、彼女は、お前が助けろ」
「・・・・・・・わかった。死ぬなよ」
「お互いにな。いけ!」
俺の声とともにジンが走り出す
「むぅ、行かせん!」
慈円がメカハンターを召喚してきた。
「邪魔はさせねぇ!行け!ヂュナミスヴァルキュリア!」
メカハンターの攻撃をヴァルキュリアが受け止めた!その隙をついてジンが先へ進む。
「お前の相手は俺だよ」
「・・・・・・まあいい、紫丸の敵は討たせてもらおう」
「・・・・・・来い」
新しく作り上げた俺のデッキ、試すには丁度いい。


あとがき
・・・・・・・今回も決闘できませんでした。この小説話のテンポ悪いですね。
Date: 2004/03/23


ACT14:森の中で
少女は逃げていた。後ろから執拗に追ってくる男たちから。
何故自分が追われているのか?解らない・・・・・
客観的にいえば運が悪いとしか言いようがなかった。
彼女はたまたまこの森を散歩していた。ただそれだけだった。
だが運悪く、この森を縄張りにしている盗賊たちに見つかってしまった。
怖かった・・・・ただひたすらに・・・・
だから精一杯逃げた。だが所詮は少女の脚力、大の男の脚力に勝てるわけもない。その差は徐々に、だが確実に縮まってきている。
それでも少女はあきらめずに逃げた。後ろを気にしながら。
だから、突然現れた人影をかわすことができなかった。
「きゃっ」
当然ぶつかってしまい少女は尻餅をついた。そしてぶつかってしまった人影を見上げた。
それは、この夜の闇よりももっと黒い髪と瞳をした青年と、夜でも十分に目立つ銀色の髪と青い瞳をした少年の二人だった。


「大丈夫か?」
突然現れてジンにぶつかってしまった少女にジンが手を差し伸べる。何故だか知らないがかなりおびえているようだ。
と、後ろから3人の男が迫ってきた。
3人とも一目でそれとわかる人種、すなわち盗賊だ。
・・・・・・・・・・・・・・・現状把握、つまりこの女の子はこいつらに追われていたわけか。
「あ、ありがとうございます」
目の前に差し出された手を少女がようやくつかむ。そのままジンが立ち上がらせた。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「は、はい、なんでしょう?」
後ろから追ってくる盗賊など目に入っていないかのようなジンの口調に少女の緊張も少しほぐれたようだ。まだ口調はぎこちないが表情に少しだが安堵の色が浮かんでいる。
「この近くに町とか村とかあるか?」
「え、ええ、それなら私の村がこの近くにあります」
「そうか、そりゃちょうどいいや、案内してくんない?」
「あ、はい」
「ちょっとまてやこらぁ!」
ジンが少女の中の恐怖心を払拭させようと優しい口調で話しているときに追いついてきた盗賊たちが無遠慮な怒鳴り声を上げた。
おかげで女の子の顔にまた恐怖の色が出てしまった。
余計なことを・・・・・
「・・・・ぁ・・・・・・・」
女の子がおびえた声を上げた。
「その女は俺たちの獲物だ!こっちによこしやがれ!」
「お前ら盗賊?だったら見逃してやるから怪我しないうちに帰ったほうがいいんじゃない?そうしないとただでさえ汚い面が人目に見られない面になるよ?」
俺は無駄な争いを回避すべく事実だけを簡潔に述べた。たかが盗賊ごとき、いちいち相手になんかしてられない。
「てめぇら!ふざけるんじゃねぇ!」
なぜか盗賊たちは余計に怒り狂った。なんでだ?
「ヒール、お前のそれはどう見ても挑発だ」
「そうか?」
「そうだ」
俺たちがほのぼのと言い合っていると突然盗賊たちが怒鳴りだした。
「てめぇら!俺たちをなめてんのか!」
『なめてるよ』
俺たち二人の声が見事にハモった。
「てめぇらぁ、もうゆるさねぇ!ぶっ殺してやる!」
盗賊たちがいっせいに腰の曲刀を引き抜く。どれもこれも刃こぼれしている。まともに手入れもしていないのだろう。
「ヘヘヘ、いまさら後悔しても遅いぜ」
後悔なんざ微塵もしてないしそもそもこんな奴らにいちいちビビる要素が何一つない。
「どうでもいいけどさぁ・・・・」
ジンが心底面倒くさそうに言った。
「怪我したいって言うんならさっさとかかってきたら?」
無茶苦茶挑発してますよ?ジンさん?
そして予測どおり、身の程知らずにも向かってきた盗賊たちをジンは5秒とたたずに叩きのめした。ご愁傷様。
「それじゃあ改めて村まで案内してくんない?」
ジンが女の子にフレンドリーに語り掛ける。盗賊どもとは態度が180度違う。
「はい、わかりました」
「あ、ちょっとまて!」
案内をし始めようとした女の子をジンが呼び止めた。
「自己紹介、まだしてなかったよな?俺の名はジン=カガミだ。んでこの銀髪がヒール」
「私は、リディア、リディア=ハーティです」
月明かりがリディアと名乗った女の子の姿を照らす。緑の髪に緑瞳、暗くて顔はよくわからなかったが美少女という単語を当てはめるに十分値する子だった。
自己紹介が終わったところで俺たちはリディアの村へと向かった。


村についたとき、村の入り口に何人かの人影が見えた。
人影が俺たちに気づいて近づいてきた。
「リディア!」
一人の女性がリディアを抱きしめた。容姿がリディアに良く似ていることから母親なのだろうか?
「心配したのよ、大丈夫?」
「お母さん、大丈夫だよ」
リディアの顔に安堵の色がより深く浮かぶ。
と、そこに一人の爺さんが近寄ってきた。
「おおリディア、無事で何よりじゃ、ちょうど今探しに行こうと思っていたところだったんじゃ」
だれだ?
「村長、ご心配をおかけしました。盗賊に襲われそうになっていたところをこの人たちに助けていただいたのです」
「そうでしたか、どうもありがとうございます」
村長が俺たちに向かって礼を言ってきた。まあ、悪い気はしないな。
「ところで、俺たちは旅をしたのだが、この森で迷ってしまってな、できれば宿の用意をしてもらえるとありがたいのだが・・・・」
俺が村長に相談を持ちかけた。この森をさまよい続けてはさすがにきつい。
「そうですな、では早速宿の手配を・・・・・」
「あの、それならば家に泊まっていきませんか?」
と、そこでリディアの母親が口を開いた。
「娘を助けていただいたお礼もしたいですし、部屋なら余っていますので。いかがですか?」
俺は少し考える。ここで彼女に好意に甘えれば宿代が浮くかもしれない・・・・・・
「それじゃあ、そうしようか、いいよな?ジン?」
「ああ、別にかまわないぜ」
決まりだな。
というわけで俺たちはリディアの案内の元彼女の家に行くこととなった。
だがそこに二人、血相を変えて走ってくるものたちがいた。
二人とも白いローブを着ている。俺は反射的に顔をしかめた。神官達の切るローブをこいつらが着ていたからだ。
まずいな・・・・・ここでなんか言われたらへたすりゃ村を追い出されかねん。だが俺の心配は見事に外れた。
「よくもノコノコと戻ってきおったったな、この魔女めが!」
男たちは俺ではなくリディアのほうを向いて怒鳴った。魔女?リディアが?どういうことだ?
説明を求めようとリディアのほうを向いて、やめた。彼女はうつむいてないかに耐えるような顔をしていた。
「おいおいおっさん!何でこいつが魔女なんだよ!ふざけたことぬかしてんじゃねえよ!」
いきなりジンがけんか腰に二人の神官に噛み付いてきた。まあ当然の疑問だな。
神官の一人、初老の老人はジンを見下してあろう事かこういった。
「魔女に決まっておるわ!なんせそいつは汚らわしい半人なのだからな!」
なるほど、神官の一言に俺は納得がいった。
この世界に存在する知的生命体は何も人間だけじゃない。
人間よりも力や技術力では劣るが、人間よりもはるかに長い寿命を持ち高い魔力と知識を持つ森の民、エルフ。
人間よりも知識と魔力では劣っているものの力や細工加工技術などでははるかに勝っているドワーフなどがいる。
そして、人間とエルフの間に生まれた子をハーフエルフと呼ぶ。
「ふん!汚らわしいエルフの血が混じった娘なんぞ、とっとと消えてしまえばいいのじゃ!」
忌々しげに履き捨てた神官の爺、俺はだんだん腹が立ってきた。
この醜悪な爺の面を殴り飛ばそうとして、横から伸びた腕が俺よりも先に爺の面を殴り飛ばした。爺は無様な悲鳴を上げて地面に這いつくばった。
横を見るとジンが殴ったままの姿勢で立っていた。どうやらあの爺を殴り飛ばしたのはこいつらしい。
「な、なにをする!」
爺は醜悪な面をさらに歪めていった。
「ふざけんじゃねぇよ!汚らわしいだぁ?てめぇはいったい何百年前の人間だよ!それに!リディアのどこが汚らわしいんだよ!お前のほうがよっぽど汚らわしいぜ!」
確かにエルフを人間が迫害していた時代はあった。よくはしらないがたいそうな大義名分を掲げていたが実際はエルフの寿命と魔力に嫉妬したこの大陸一の大国、グリーデンの当時の国王がエルフの迫害を唱えたことが始まりだとか・・・・・・
今から300年以上も昔の話だ。もう当時のことを知っている人間はおろかエルフすら少ないだろう。ちなみにそのいかれた国王の息子がクーデターを起こしその国王を暗殺、新たに国王についた息子がエルフたちとの和解を成功させたらしい。
現にグリーデン王国の重要機関の主任や国の大臣の任についているエルフも大勢いる。
それにしてもここまで怒りをあらわにするジンも初めて見るな。
「爺の誇大妄想か・・・・・付き合ってられんな・・・・・」
だから俺も言い捨ててやった。再び爺の顔が醜く歪む
「き、貴様ら、ここの村人同様、この邪悪な魔女をかばうか!」
俺はふと、何か違和感を感じた。だがそれが何かわからない。と、もう一人の神官(やっぱり爺だった。)の表情に嘲笑の色が現れる。
「大方貴様らも、この魔女にたらしこまれたのだろう?どのようにして誘惑された?そいつの体にでも欲情したのがっ!?」
その爺は最後まで言葉を言うことはできなかった。俺の銃口が爺の口にねじ込まれたからだ。当然、俺は引き金に指をかけている。さすがにこいつの一言には俺もキレた。隣を見ればジンも同じだったらようでもう一人の爺の口を押さえている。よく耳を澄ませば骨のきしむ音が聞こえる。ありゃ相当キレてんな。
「よくいうよな、口は災いのもとって」
ジンがドスを聞かせた声で言った。
「続きが言いたいのなら、あの世で言ってこい」
ジンの科白の続きを引き取って俺は言った。ついでに引き金に指をかけた。
すると二人の神官の顔がみるみる恐怖に引き連れていく。見ていてかなり滑稽だ。
「わ、悪かった・・・・・許してくれ」
銃口をねじ込まれたほうの爺が涙ながらに懇談する。俺は銃を奴の口から話して銃口を丁寧に拭きながら言った。
「誤るくらいなら、はじめから言ってんじゃねぇよ」
同じようにジンもつかんだ腕を放した。
地べたに這いつくばった爺どもが何か言おうと顔を上げ、その表情が凍りついた。
俺たちだけでなく俺たちの周り、リディアを守るように取り囲む村人たちが全員この爺どもを見下ろしている。そして、彼らの目は言葉よりもはっきりと彼らの意思を物語っていた。
これ以上、リディアを罵倒したらただじゃおかない。と・・・・・
その視線を受け、爺どもは逃げるように消えていった。


だがヒールたちは気づかなかった。村から少し離れた森の中に、今の一騒動を見ていた人物がいることに。
「ほう、ハーフエルフの娘を監視していたら、意外な獲物が網にかかったか・・・」
「最澄様、ここにおいででしたか」
後ろからの声に最澄と呼ばれた男は振り返った。
「慈円か、どうした?」
「実験の準備が完了しました」
「そうか、わかった、すぐ行く」
二人は夜の森の中に消えていった。


あとがき
ツキ「というわけでACT14終了です」
ヒール「なんか今回は・・・・その・・・・」
ツキ「あ、言わなくてもいいですよ、言いたいことは大体わかりますから」
ジン「じゃあこんな話にするなよ」
ヒール「そうだな、他にもっと言い案なかったのかよ?」
ツキ「ありません(0.1秒)」
ジン「速っ!?」
ヒール「おいおい・・・・・・」
ツキ「ほかにも案はあったんですよ、でもそれだとどうも話がうまくまとまらなくて・・・・」
ジン「だめジャン・・・・・」
ヒール「構成ちゃんと練っとけよ・・・・・」
ツキ「ムゥ・・・・・返す言葉がありませんね」
ジン「まあこの作者のだめっぷりは今に始まったことじゃねえしな」
ツキ「あ、ひどい・・・・・」
ヒール「それもそうだな、悪かったな、いちいちお前の文才のなさをつついたりして」
ツキ「うう・・・・・・・」
ジン「おい作者沈んだぞ、いいのか?」
ヒール「ほっとけ、今のうちに閉めるぞ」
ジン「そうだな、じゃあ今回はこの辺で・・・・・・」
ヒール「またな」
Date: 2004/03/22


ACT13:逃亡
俺のダイレクトが決まって紫丸の精神が乱れ始めた。この隙につけ込んでいけばこの決闘、案外早く終わるかもしれない。
「殺してやるよヒールゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
「落ち着け、紫丸」
狂乱している紫丸に向かって慈円が言葉を投げかける。
「ここでお前が狂乱してはそれこそ奴らの思う壺だ。そんなことでは奴らには勝てん、わかるな?」
「・・・・・・わかったよ」
紫丸から放出されていた怒気と殺気が消えた。あの慈円という男、なかなかやるな。
ちなみにさっき、ジンはヘルメスのドロー効果を選択した。

ヒールLP8000手札3枚
紫丸LP8000→3700手札3枚
ジンLP8000→7000手札5枚
慈円LP7000手札3枚

「・・・・・俺はこれでターンエンドだ」
「僕のターンだね、バーンストライクの効果発動!ドローフェイズをスキップしてヒールに1000ポイントのダメージを与える!」
解き放たれた火球が俺を襲う!
「グッ・・・・・・・ッ!」

ヒールLP8000→7000手札3枚
紫丸LP3700手札3枚
ジンLP7000手札5枚
慈円LP7000手札3枚

「さらに終わりなき欲望の効果で2枚ドローする。カードを3枚伏せてターン終了」
「俺のターンだな、ドロー。慈悲深き勇者ヘルメスを生贄に捧げ無敗将軍フリードを召喚する。カードを1枚セットしてターンエンド」
「我のターン、モンスターを守備表示で出し、カードを1枚伏せてターン終了」
「俺のターン!ドロー!2体の天使で紫丸にダイレクトアタック!」
どうだ!
「甘いよ、リバースカードオープン!邪悪なるバリア―ダーク・フォース―発動!」
紫丸の場にミラーフォースと対を成すカードを発動させた。だがそのカードは攻撃表示のモンスターには効果がない!そんなものを発動しても無意味だ!
「さらに!」
突然慈円が声を上げた。
「リバースカード重力解除発動!これでお前たちのモンスターはすべて守備表示となる!」
何だと!?しまった。このカードは表側表示モンスターすべての表示形式を変更させるカード。俺の場のジャンヌとアギト、それにジンの無敗将軍フリードは守備表示になってしまった。
「仕方がないリバースカードオープン!亜空間物資転送装置を使って無敗将軍フリードをゲームから除外するぜ!」
正解だジン、俺はこのターン、まだモンスターを召喚できるがジンは次の自分のターンがくるまで無防備になってしまう。ここは自分のモンスターを除外して守ることが先決だ。
「俺はカードとモンスターを1枚ずつセットしてターンエンドだ」
「僕のターンだね。バーンストライクの効果でヒールにダメージを与える!」
「チィ!」
野郎、完全に俺狙いだな。
「さらに終わりなき欲望の効果でカードを2枚ドロー、カードを1枚セットしてターン終了!」

ヒールLP7000→6000手札2枚
紫丸LP3700手札2枚
ジンLP7000手札4枚
慈円LP7000手札2枚

「俺のターン!ドロー!・・・・・無敗将軍フリードで慈円の守備モンスターを攻撃!」
フリードが慈円の場の守備モンスターに向かって斬りかかる!
「そうはさせないよ、亜空間物質転送装置発動!守備モンスターを除外するよ」
さっきのジンのフリードと同じように慈円の守備モンスターが亜空間へと転送された。
「だがそれによってダイレクトアタックが可能になったぜ!フリードで慈円をダイレクトアタック!」
「そうはさせん、リバースカード、メタルリフレクトスライムを発動する。これでも攻撃をするのか?」
「・・・・・カードを1枚セットしてターンエンドだ」
「我のターンだ!ドロー!守備モンスターとメタルリフレクトスライムを生贄に捧げ、エメス・ザ・インフィニティ召喚!無敗将軍フリードに攻撃!」
「させるかぁ!リバースカードオープン!鎖つきブーメラン!これでフリードの攻撃力を500ポイントアップさせ、返り討ちにしてやるぜ!」
「僕がいることを忘れるなよ!カウンター罠トラップ・ジャマー発動!」
「なに!?」
まずい、ジンの罠が無効化されてしまった!
「エメス・ザ・インフィニティよ、無敗将軍を破壊しろ」
「リバースカードオープン!強制脱出装置発動!これでエメス・ザ・インフィニティを手札に戻す!」
これならどうだ!?
「まだまだ!用心のためもう1枚伏せてたのさ、リバースカードオープン!トラップ・ジャマー!これで強制脱出装置を無効化する!」
「なっ!?」
「無敗将軍フリード、撃破」
まいったな・・・・ジンの場ががら空きになっちまった。

ヒールLP6000手札2枚
紫丸LP3700手札2枚
ジンLP7000→6800手札4枚
慈円LP7000手札2枚

「我はこれでターンを終了する」
「俺のターンだ、ドロー!」
俺は気合を入れてドローする。流れが奴らに傾きかけている。このターンで何とかしないと・・・・・
「よし!」
引いたカードはサイクロン、これならあの鬱陶しい永続魔法も破壊できる!
「俺はサイクロンを発動し、バーンストライクを破壊する!」
「なっ!?悪あがきを!」
よし、完全に流れをこちらに引き寄せることはできなかったがこのまま奴らに流れを持ってかれることもなくなった。後は・・・
「俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ」
「僕のターンだね、ドロー。終わりなく欲望の効果で2ドロー、カードを3枚伏せてターンエンド」
また伏せカードか、鬱陶しいな・・・・・
「俺のターン!ドロー!カードを2枚セットし、モンスターも1体セットしてターンエンドだ」
「我のターン!ドロー!エメス・ザ・インフィニティでジンの場の守備モンスターに攻撃!」
「クソッ」
あの守備モンスター、ジンにとっては破壊されたくないモンスターなのか?ならば!
「リバースカードオープン!シフトチェンジ!」
攻撃対象が俺のモンスターへと移った!ここだ!
「さらにもう1枚のリバースカードオープン!モンスターレリーフ!守備モンスターを手札に戻して、異次元の女戦士を特殊召喚!さあ、これでも攻撃するかい?」
「・・・・・攻撃を中断して、ターンエンド」
「俺のターンだな、ドロー」
このターン、俺にできることはないが紫丸のリバースを少しでも削っておくか?いや、どうせ次のターンでまた伏せられるしな。ここは下手に動かないほうがいいだろう。
「カードを1枚セットしてターンエンド」
「僕のターンだね、ドロー。終わりなき欲望の効果で2ドロー、ターンエンド」
「俺のターンだ!ドロー!魔法カード天使の施し、3枚ドローして2枚捨てる」
ジンの捨てたカードにバスターブレイダーがあった。よしここだ、いくぜ!
「リバースカードオープン!死者蘇生!ジンの場にバスターブレイダーを蘇生させる!」
「なんだと!?」
二人は驚愕の声を上げる、だがそれは次の瞬間には嘲笑に変わる。
「いまさらそんなカードを出してなんになる。無意味な蘇生だったな」
ここから先はお前に任せたぜ、ジン!
「守備モンスターを反転召喚!戦士の補給部隊!」

戦士の補給部隊 地属性 ☆3 戦士族:効果
ATK1000 DEF500
このカードは1ターンに1度裏側守備表示にすることができる。このカードが反転召喚に成功したとき、このカードのコントローラーはカードを2枚ドローする。このカードの効果でドローしたターン、このカードは攻撃できない。

「こいつの効果で2枚ドローするぜ!」
なるほど、それでそのカードを守りたかったのか。
「闇魔界の戦士 ダークソードを召喚して装備魔法、魔剣レヴァンティーン発動!こいつをバスターブレイダーに装備させる!」

魔剣レヴァンティーン:装備魔法
このカードはレベル7以上の戦士族モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は700ポイントアップ、さらにこのカードの発動時に装備モンスター以外のモンスターを好きなだけ生贄に捧げても良い、生贄に捧げた場合そのモンスターの攻撃力分装備モンスターの攻撃力がアップする。装備モンスターが戦闘で破壊したモンスターの効果は無効化される。装備モンスターが攻撃に成功した場合、装備モンスターは次の自分のターンに攻撃できない。

「いくぜ!バスターブレイダーでエメス・ザ・インフィニティに攻撃!」

バスターブレイダー攻撃力2600→5100

膨大な攻撃力となったバスターブレイダーが肉迫する!
「甘いんだよ!リバースカードオープン!魔法の筒!これでバスターブレイダーの攻撃を跳ね返すよ!」
まずい!この発動を許してしまってはジンのライフに甚大なダメージが!
「そうくることはお見通しなんだよ!リバースカードオープン!ものマネ幻想師の奥義発動!」
「なんだって!?」
紫丸が驚愕の声を上げる。

ものマネ幻想師の奥義:速攻魔法
1000ポイントのライフを支払って発動する。相手の墓地にある魔法、罠カードを1枚選択する。このカードは選択したカードとして扱う事ができる。

「こいつで俺はお前のトラップ・ジャマーをコピーする!魔法の筒を無効化するぜ!行け!バスターブレイダー!破壊剣一閃!」
バスターブレイダーの大剣がエメス・ザ・インフィニティの体を切り裂く!
「さらに手札から速攻魔法、ダブルアタック発動!」

ダブルアタック:速攻魔法
自分の場のモンスター1体を選択する。選択したモンスターはこのターンバトルフェイズ中にもう1度攻撃することができる。

「こいつの効果で紫丸にダイレクトアタック!」
バスターブレイダーが紫丸に向かって突進していく。
「クッ、させるかぁ!リバースカードオープン!炸裂装甲(リアクティブアーマー)発動!バスターブレイダーを破壊する!」
「だからお見通しといっただろうが!リバースカードオープン!我が身を盾に!」
ジンの発動したリバースの効果でバスターブレイダーは破壊を免れた。
「いっけぇぇぇぇぇ!バスターブレイダー!破壊剣一閃!」
龍破壊の戦士の必殺技が紫丸の体を切り裂いた!

ヒールLP6000手札1枚
紫丸LP3700→0
ジンLP6800→4300手札2枚
慈円LP7000→5000手札3枚

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
断末魔の絶叫を上げて紫丸は事切れていった。これで残るは慈円一人!
「俺は戦士の補給部隊を裏側守備表示に変えてターンエンドだ」
とそこで慈円がデッキの上に手を置いた。サレンダーだ。
「・・・・・・ここまでのようだな。今回は我らの負けだ。だが次もこううまくいくと思うな」
「間抜けの常套句だな、次なんかあるか!バスターブレイダー、攻撃だ!」
ジンがバスターブレイダーに攻撃命令を下す。
だがバスターブレイダーはただ黙ってその場に立ち尽くしていた。
「な、なぜ!」
何故って、お前、当たり前だよ・・・・・
「忘れたのか?貴様が発動した魔剣レヴァンティーンの効果を?」
「しまった・・・・・」
そう、極めて強力は装備魔法である魔剣レヴァンティーンは装備モンスターが一度攻撃すれば次のターンは攻撃できなくなるというリスクが伴っている。だが!
「俺がいることも忘れるな!ムドラ召喚!攻撃だ!」
ムドラがその手に握った曲刀を掲げる。
「あまい!メカファルコン召喚!我を背に乗せ飛べ!メカファルコン!」
ムドラの一撃をかわした慈円はそのままメカファルコンの背に乗りどこかへといってしまった。
「・・・・・・逃げたか・・・・」
人が苦々しげに吐き捨てた。
「2対1では不利と見ての戦略的撤退、あの慈円という男戦況を見る目も持っている。かなりできるな」
「それを一般的に逃げるって言うんだよ」
・・・・・そうとも言うな。
「それで?これからどうするんだよ」
「そうだな・・・・とりあえず近くの町なり村なり言ってみよう」
俺たちは廃墟となった神殿を後にした。

あとがき
やっぱりタッグデュエルは書くの難しいですね。疲れたので今回はこれだけでご勘弁を・・・・・・・
Date: 2004/03/21


ACT12:様子見
タッグデュエルルール
・すべてのプレイヤーは1ターン目に攻撃することができない。
・自分のパートナーのターンならば自分の場に伏せていたカードが通常魔法でも発動できる。
・自分のパートナーの場にモンスターが1体もいない場合、自分の場の守備表示モンスターに相手モンスターの攻撃を受けさせても良い、ただし、これは1ターンに一度しかできない。
今回のターンの流れる順番
ヒール→紫丸→ジン→慈円


ヒールLP8000手札5枚
紫丸LP8000手札5枚
ジンLP8000手札5枚
慈円LP8000手札5枚

「俺のターンからだな、ドロー」
タッグデュエルは初めてだからな、慎重に行くか。
「俺はカードとモンスターを1枚ずつセットして、ターンエンドだ」
最初の手としては無難なところだろう。
「僕のターンだね、ドロー。フフフ、僕はカードを4枚伏せてターンエンドだよ」
「なっ!?」
いきなりカードを4枚も伏せただとぉ!?
こいつら、やはりタッグ専用のデッキかよ!
「俺のターン!ドロー!」
ジンがやや気合を入れてカードを引く。やはり紫丸の行動に動揺しているのだろうか?
「俺はカードを1枚セットして、慈悲深き勇者ヘルメスを召喚するぜ」
ジンの場に銀色に輝く鎧をつけた戦士が現れた。結構強そうだな。

慈悲深き勇者ヘルメス 光属性 ☆4 戦士族:効果
ATK1900 DEF1600
このカードは相手プレイヤーにダメージを与えることができない、このカードが相手モンスターを破壊したとき、このカードのコントローラーは次の効果のうちひとつを選ぶ。
●カードを1枚ドローする。
●500ライフポイントを得る。

「これで俺はターンエンドだ」
「我のターン、ドロー。我はカードを1枚伏せ、モンスターを守備表示で召喚する。ターンエンド」
「俺のターン、ドロー」
さて、それぞれターンが一巡したからもう攻撃はできるわけだが、紫丸の場にセットされているカードが気になるな。何枚かは確実に罠だろう。やはりうかつに攻撃することはできない。
「俺はさらにモンスターを1枚セットしてターンエンドだ」
「この瞬間、僕の場のリバースカードを発動させるよ」
「何!?」
このタイミングで!?何がくる!?
「罠カード、終わりなき欲望!」
終わりなき欲望?聞いたことのないカードだな・・・・・
「さてと、僕のターンだね、ドロー。さらに2枚ドロー」
「なっ」
ちょっとまて!何で2枚もドローできるんだよ!
「終わりなき欲望の効果さ、このターンのバトルフェイズをスキップする変わりにカードを2枚ドローできるのさ」

終わりなき欲望:永続罠
このターンの自分のバトルフェイズをスキップする代わりに自分はカードを2枚ドローできる

そういうことか、クソッ!厄介な・・・・・
「いいカードを引いたよ、永続魔法カード、バーンストライク発動!」
『何!?』
俺とジンの声が見事にハモった。それくらい驚異的なカードを奴は繰り出してきたのだ。

バーンストライク:永続魔法
自分のターンのドローフィズをスキップすることで相手プレイヤーに1000ポイントのダメージを与える。自分の場にこのカード以外のカードがなかった場合、このカードは破壊される。

「僕はこれでターンエンドだよ」
「チッ、俺のターン!ドロー!鉄の騎士ギアフリードを召喚!んでもって紫丸にダイレクトアタック!」
待て、ジン!攻撃が短絡過ぎる!返り討ちに会うぞ!
「甘いよ、リバースカードオープン!罠カード、サンダーブレイク!」
案の定、ギアフリードは雷に打たれて破壊されてしまった。
「ならヘルメスで慈円の守備モンスターに攻撃!」
ヘルメスが慈円の守備モンスターへと突き進む!
「残念だが、守備モンスターは機動砦のギアゴーレムだ」
「関係ねぇ!リバースカードオープン!突進!」
「クッ!」
突進の魔法効果によりヘルメスの攻撃力が上がった。これならばギアゴーレムを破壊できる!

慈悲深き勇者ヘルメス攻撃力1900→2600

「ギアゴーレム撃破!」
「だがこの瞬間、我の場のリバースカードを発動させる!」
慈円の場のリバースカードが翻る!
「魂の綱!このカードの効果により我はメカハンターを特殊召喚する!」
慈円の場にメカハンターが現れた。

ヒールLP8000手札4枚
紫丸LP8000手札3枚
ジンLP8000手札4枚
慈円LP8000→7000手札4枚

「・・・・・・俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ」
「我のターン!ドロー!行くぞ!メカハンターを生贄に捧げ、ブローバック・ドラゴン召喚!」
ブローバック・ドラゴン!コインを3回投げて2回表が出るのと同じ確率でフィールド上のカードを1枚破壊できる機械族の上級モンスター。こいつ、なんてカード持ってやがるんだ・・・・・
「ブローバック・ドラゴンの効果発動!」
「クッ、させるかぁ!」
俺は気合とともにリバースカードを発動させた!
「リバースカードオープン!異次元放逐!こいつの効果で俺の場の守備モンスター、祝福の天使レミエルとあんたのブローバック・ドラゴンをゲームから除外する!」

異次元放逐:速攻魔法
発動プレイヤーは自分の場のモンスターと相手の場のモンスターを1体ずつ選択する。選択されたモンスターをゲームから除外する。

「ヌゥ!なめたまねを・・・・・」
「さらに!レミエルの特殊能力発動!」
「な、なんだと!」
「レミエルはな、場か墓地でゲームから除外されたときに手札から天使族モンスターを特殊召喚できるのさ!俺はこいつの効果で守護天使ジャンヌを特殊召喚する!」
俺の場に神々しい光を放つ守護天使が現れた。

祝福の天使レミエル 光属性 ☆4 天使族:効果
ATK1300 DEF1000
このカードがフィールドか墓地からゲームから除外されたとき手札から天使族モンスター1体を特殊召喚することができる。

「・・・・・・・カードを1枚伏せてターンエンド」
「俺のターンだな、ドロー」
ここは攻めるとき!
「俺はアギトを召喚して2体で紫丸にダイレクトアタック!」
俺の場の2体の天使たちが紫丸へと向かっていく。
「そうはさせないよ。リバースカードオープン!聖なるバリア―ミラーフォース―発動!これで君のモンスターは全滅」
「カウンター罠発動!盗賊の七つ道具!」
ジンのリバースが翻りミラーフォースの効果を打ち消す。ナイスだぜ、ジン!
再び2体の天使が紫丸に向かっていく。今度は妨害はない!ダイレクトは成功する!
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
紫丸の体が派手に吹っ飛んだ。へたすりゃ死ぬぞ、あれ。
と、吹っ飛ばされた紫丸が起き上がった。結構タフだな・・・・
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!殺す!絶対に殺す!」
いきなりキレやがった。情緒不安定って奴か?
「ただ殺すだけじゃない!貴様は最大限の屈辱を与え、絶望に打ちひしがれる様を嘲笑って殺してやる!」
紫丸は完全に我を失っていた。これは、この勝負、先が見えたな。


あとがき
やはりタッグデュエルだとターンが過ぎるのが遅いですね。次あたりにこの決闘終わらせることができるかな?
Date: 2004/03/18


ACT11:廃墟の神殿で
とりあえず、これからどこへ向かうかということでヒールが提案した場所、現在の女神ヴェルダンディが管理されているヴェイザス神殿に行くことになったのだが・・・・・・

ヴェイザス神殿は森の中に立っている。だから俺たちは朝からこうして森を掻き分けて来ているわけだが・・・・・・
「いつになったらつくんだよ、その神殿には!」
これだ・・・・・神殿までの道筋の半分ほどまで来たときから急にジンのやつが愚痴り始めた。はじめのうちこそまともに返していたのだが・・・・・・もう俺も無視を決め込んでいる。しかしおかしいな、俺の記憶が確かならもうそろそろ見えてきてもいいはずなんだが・・・・・・
と思っていたら開けた場所に出た。どうやら着いたらしい、俺は神殿に近づこうとして・・・・・・・足を止めた。
「お、おいヒール・・・・・」
後ろを歩いていたジンも足を止め眼前の光景に見入っていた。
「神殿が・・・・」
俺たちの目の前に広がっていたのは廃墟だった。ここがもと煌びやかな神殿だったといって信じられる奴はいないだろう。それほどまでの有様だった。
「一体、何があったんだ?」
「それは僕たちがやったからだよ」
思わずジンが漏らした一言、まさかそれに返答が返ってくるとは・・・・・・・
声のしたほうを見てみるとそこにいたのは二つの人影、一人は金髪をいじっている、見るからに軽薄そうな男、もうひとりはジパング独特の黒髪と黒い瞳、来ているものも上下黒と、全身黒ずくめの長身の男だった。
「あはははは、すごいね、慈円、本当に最澄様の言ったとおりだ。こいつらのこのこと現れたよ」
金髪が急に笑い出した。俺は金髪の軽薄面に銃口を向けた。
「神殿をこんなにしたのはお前らか?」
「そうだよ、さっき言ったじゃないか、聞いてなかったの〜?」
ふざけた野郎だ。このまま引き金を引いてやろうか?
「お前たちがここにある現在の女神ヴェルダンディを求めてくることは予想ができた。だから我らはここに残りお前の持つ過去の女神ウルドをいただきに来たのだ」
さっきまで黙っていた。あの軽薄面に慈円と呼ばれた男が口を開いた。軽薄面と違い重々しい、威厳のある声だった。
「だからさぁ、おとなしく死んでくれないかなぁ?そうしてくれたほうが僕たちも楽なんだけど」
俺は何の警告もなしにいきなり引き金を引いた。銃口から吐き出された弾丸が嬉々とした咆哮を上げ軽薄面へと向かっていく。
だが奴はそれをいとも簡単にかわしやがった。距離がありすぎたか?
「あぶないなぁ、いきなり撃ってくるなんて、そっちはとっくにやる気みたいだね、じゃあ、僕たちもやろうか?慈円」
「うむ、そうだな。この二人、久々に楽しい決闘ができそうだ」
慈円が肉食獣のような笑みを浮かべる。こいつはどうやら戦闘狂らしい、こういう輩にはあまりかかわりたくないんだがな。
と、慈円に影響されたのか俺の隣のジンも不敵な笑いを浮かべる。
「おもしろい、やってみろよ」
うわぁー、こいつも慈円と同じタイプかよ。勘弁してくれ、何影響されちゃってるんだよ。
「ヒール、どの道こいつ等を倒さなきゃ先には進めねぇんだ、だったらやるしかないぜ」
確かに、しかたない、やってやるか!
「自己紹介は、しておこう。我は月鬼衆がひとり、慈円!」
「僕は紫丸。一応知っておいたほうがいいでしょ?自分を殺す奴の名前はさ?」
なめられたものだな、とはいえあっちが名乗ってくれたんだ、名乗り返さなければ失礼にあたるだろう。
「俺の名はヒール=ナイツ、覚えておいて損はないぜ?お前ら月鬼衆を滅ぼす男の名だから」
負けじと俺も名乗り返す、もちろん、親指を立てて下に向けるジェスチャーも忘れない。
「俺はジン=カガミ、さっさとはじめようぜ」
「フフフ、慌てない慌てない、どうせ4人いるんだからタッグデュエルにしようよ」
タッグデュエル?自分から言い出すということは、こいつらのデッキはタッグ専用だな、わざわざ相手の土俵に上がってやることはない。
「いいだろう」
断ろうとした俺の言葉より先にジンが返答しやがった。
「おいジン!何わざわざ敵の土俵に上がってやる必要があるんだよ!」
「まあいいじゃねぇか、たまにはよ」
「アホ!あいつらのデッキはおそらくタッグ専用だ!なら、シングルでやって各個撃破が一番手っ取り安いだろうが!」
「あれぇ、怖いの?月鬼衆を滅ぼすとか言ってたわりにだらしないんだねぇ?」
さらに言い募ろうとした俺に紫丸が口を挟んできた。
「なんだと?」
「だってそうでしょう、相方のほうが承諾したのにそれに文句を言うなんて、怖いって言ってるようなモンだよ?」
・・・・・・・そこまで言われたら俺にだってプライドがある。
「いいだろう、お前の安っぽい挑発に乗ってやるよ」
「フフフ、そうこなくっちゃ」
お互いに準備は完了した。一瞬の静寂、そして・・・・・・
「決闘!」
4人の声が、森に木霊した。


あとがき
むぅ、決闘までいけませんでしたか、しかも今回もまた短いですね。次はもっと長めになるようにがんばってみます。
Date: 2004/03/16


ACT10:武器屋にて
「お客様、このダガーなどはいかがでしょうか?」
そういって武器屋の店員が俺に差し出してきたのは刃渡り50cmほどのダガーだった。
「これは大きさの割りに軽く握りやすく、力のない女性でも簡単に扱える代物なのですが、いかがでしょうか?」
ためしに握ってみる。確かに手にしっくりくるが・・・・・・そもそも俺は刃物の使い方に離れていない。包丁すらロクに使えなかったのにこんなものが戦闘で役に立つとは思えない。
「すまないが、別のものを見せてもらえないか?」
「そうですか、それでは・・・・・」
店員は少し残念そうに別の商品を探し始めた。
「おいおい、意外と好みにうるさいんだな、お前」
横からジンが口を出す。奴は刀剣類が並んでいるところで品物を物色している。
そもそも何故俺たちはこんなところにいるのだろうか?
事の始まりはジンの一言だった。
「やっぱこれから旅を続けるにはカード以外の武器も必要だよな」
一理あることだった。もしも月鬼衆の奴らが俺の神を奪いに数に頼った戦術くる場合、いちいちカードを使っていれば魔力がもたない。だからこの町最大の武器屋に来たのだが・・・・・・俺刀剣類の扱いは苦手なんだよなぁ・・・・・・・
確かにこの店は品揃えがいい、だが俺にとってはこれらは皆宝の持ち腐れなのだ。どうしたものか・・・・・・
と、店内を見渡した俺の目に飛び込んできたものがある。それは銀色の光沢を放ち、子供でも容易に命を奪いことのできる無骨な鉄の塊。銃だ・・・・・・
俺はそれを手にとって見る。懐かしい感じがした。
S&W M629Cのシルバーモデルだ。
リボルバータイプの銃とは珍しいな。グリップを握る。うん、手にかなりしっくりとくる。
「お、お客様、銃器等は扱いが難しくとても素人には・・・・」
「かまわない、これをくれ」
「し、しかし・・・・」
店員はかなり困惑していた。あたりまえだろう、この世界、銃器を扱える人間はそう多くない。だが・・・・・・
「お、ヒールお前銃なんか使えたのか?」
ジンが声をかけてくる。奴は手に刀を持っていた。どうやらそれを買うつもりらしい。
「ああ、昔使っていた」
そう、俺は銃を使ったことがある。最近はまったくつかっていなかったが・・・・使っていた歳月の長さはカードよりも上だ。
「だからこれをくれ」
「・・・・・・・かしこまりました。お買い上げありがとうございます」
まさかまた、銃を手にすることになろうとはな、ミリアに出会ってから、もう使うことはなかったと思ったのに・・・・・
まったく、因果なものだ。
こうして俺は、カード以外の新たな相棒を手に入れた。

あとがき
ツキ「ふぅ〜、終わった」
ドギャッ!(ヒールが作者の頭を蹴りつける音)
ツ「オブッ!な、何するんですか!?」
ヒール「やかましい、何だ今回のは?」
ツ「何だって・・・・・あなたが銃を手に入れた話ですよ、なに言ってるんですか?」
ヒ「そうじゃねぇ!短すぎるだろ!今までで一番短いぞ!」
ツ「何言ってるんですか!プロローグはもっと短いじゃないですか!」
ヒ「プロローグは本編じゃねぇだろ!ちょうどいい、今回新しく手に入ったこいつの性能を試してみようか・・・・・」
そう言って銃を作者の眉間に突きつけるヒール
ツ「ま、待ってください!今回短いのにはちゃんとした理由があるのですよ!」
ヒ「ほう、なんだそれは?」
ツ「と、とりあえず銃をおろしましょうよ」
ヒ「イヤだ」
ツ「ひ、ひどい」
ヒ「納得がいかなかったらこのまま撃つ」
ツ「今回の話はいわば息抜きですよ、このところずっと長い話ばっかだったじゃないですか?だからちょっと疲れが見えてきたのでここで息抜きでもしようかと・・・・・」
無言で引き金に指をかけるヒール
ツ「ま、まってください、当然それだけじゃないんですよ」
ヒ「ほう?」
ツ「次からは、いわば新章です。だから今回は新章に入るまでのつなぎなんですよ、あなたたちにカード以外の武器を持たせることは以前から考えていたわけで、でもそれだとこの話と新章の冒頭が一緒になってしまって、僕的にそれはちょっとやだなぁと思ったので短くなってしまったのは仕方がなかったんですよ」
ヒ「だったら今回の話を前の話に書けばよかったじゃねぇか」
ツ「前回のはあれでも結構長くなってしまって、それにあの話はあそこできらないとずるずるいってしまうでしょ?」
ヒ「・・・・・・それもそうだな、なるほど、ちゃんと考えていたんだな」
そう言って銃を下ろすヒール
ツ「(た、助かった・・・・・)解っていただけましたか」
ヒ「だ〜が、やっぱり短いことには代わりがねぇ、次からはまたいつもぐらいの長さにはしろよ」
ツ「前向きに善処します・・・・・・・・」
Date: 2004/03/15


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